出産準備

【専門家監修】産後の生理が再開されるのはいつから?生理が再開しない4つの原因

産後の生理が再開されるのはいつから?

妊娠して以来止まった生理は、産後いつから再開するのでしょうか。出産前から知っておきたい妊婦さんはたくさんいらっしゃいます。産後生理がくる、イコール体が妊娠前の状態に戻ったと考える方も多いでしょう。

しかし、残念ながら産後の生理再開は「いつからです」というはっきりとした答えはありません。いつからかは個人差があり、早い人もいれば遅い人もいます。また、その時期に差が出る理由も、人によって様々です。

授乳方法で生理が始まる時期が違う

生理が始まる時期に差が出る要因に、赤ちゃんへの授乳方法があります。一般的に母乳で赤ちゃんを育てている場合は、生理が始まる時期が遅れると言われています。これは、母乳を分泌するためのプロラクチンというホルモンが、排卵を行わないようにする働きがあるからです。

とはいえ、赤ちゃんに母乳を与え終わるまで生理が全くこないとはいえず、授乳回数によっても変わります。完全母乳とミルクとの併用でも、生理の再開時期が変化することがあります。

完全母乳の場合

完全母乳で赤ちゃんを育てている方は、生理の再開が遅くなると言われています。母乳を出すためのプロラクチンが影響していることは先述のとおりですが、産後半年もすれば母乳を与えていても妊娠前のホルモンバランス程度に落ち着き、生理が再開する方もいます。

また、赤ちゃんは産後5ヶ月頃から離乳食が始まるため、母乳を与える回数も減ってきます。これにより、母乳が産生されなくなることからホルモンが整いやすくなります。ただし、これも個人差があります。

混合育児の場合

混合育児とは、赤ちゃんに母乳とミルクの両方を与えて育てることです。混合育児の場合は母乳をあげる回数が減るためプロラクチンの分泌が減り、完全母乳よりも排卵する可能性が増します。

そのため、個人差はありますが、産後の生理再開も完全母乳の方よりも早いといわれています。

粉ミルクだけの場合

粉ミルクだけ、いわゆる「完ミ」で赤ちゃんを育てている場合、産後の生理は完全母乳や混合で育てている方よりも、早めにくる傾向があります。一般的には完ミの場合、産後1~3ヶ月で再開することが多いと言われています。

しかし、これは個人差があります。産後の体の回復のスピードは人それぞれですので、焦らず様子を見るようにしてください。

産後すぐに生理が再開しない4つの原因

お仕事の都合や家族計画などで、産後の生理がいつからくるのか気にしている女性は多いでしょう。周りの人と比べてみたり、平均的にはどうなのかネットで調べてみたりされる方もいます。

しかし産後は、妊娠・出産で変化した体が、また妊娠できる状態に回復していく時期で、それは授乳方法や、個人の体の状態により異なります。以下では、授乳以外で生理がすぐに再開しない原因をご説明させていただきます。

産後すぐに生理が再開しない原因1:ホルモンバランスが崩れている

産後は授乳を促すプロラクチンが分泌されることで、排卵が抑えられ生理が止まります。しかし徐々に産前の体に回復していき、生理を起こすのに必要なプロゲステロンとエストロゲンというホルモンが分泌されると、生理が再び始まるようになります。

しかし、産後は睡眠不足や生活習慣の乱れにより、ホルモンのバランスが取れず生理が再開しない場合があります。赤ちゃんの夜泣きなどで睡眠不足などになりやすいため、意識的に休息をとることが大切です。

産後すぐに生理が再開しない原因2:栄養バランスが悪い

産後、栄養バランスが悪いと、生理が遅れる原因になります。出産による体のダメージは大きく、それに加え赤ちゃんのお世話を四六時中しなければなりません。どうしても時間や食事に不規則な生活になり、それが生理の遅れの原因になっていることがあります。

産後の体の回復のためには、バランスのとれた食事を三食きちんとすることが大切です。ママが摂った栄養が母乳で赤ちゃんに与えられることも加味し、自分の体を思った食事を摂ることが大切です。

産後すぐに生理が再開しない原因3:高プロラクチン血症の可能性がある

産後生理が再開しない原因に、高プロラクチン血症があります。産後は通常、授乳中に分泌されるプロラクチンというホルモンの影響で排卵が抑えられ、無月経が続くのですが、授乳が終了後も過剰に分泌されることで生理が遅れるというものです。

症状としては乳汁漏出と月経異常が見られます。授乳を終了したにも関わらずしばらく生理が来ず、乳汁の漏出などの症状があったら医療機関を受診しましょう。

産後すぐに生理が再開しない原因4:妊娠の可能性がある

産後生理がこない原因として、妊娠の可能性があります。通常は「妊娠=生理がある」と考えられがちですが、排卵は生理の前にあるため妊娠の可能性も否定できません。つわりなどの妊娠初期症状を感じたら、一度医師に相談しましょう。

産後はどうしても、赤ちゃんのお世話での疲れで自分の体の不調が慢性的になりがちです。妊娠の初期症状も見落としがちですが、日頃から自分の体の小さな変化にも気を配るようにしましょう。

産後の生理状態で病院に行く必要がある場合5つ

産後は様々な理由で、生理の再開の時期に差がでるということをご説明させていただきました。これは個人差があるため、他人と比べて神経質になりすぎる必要はありません。

しかし、産後の生理状態で注意しなければならない症状もあります。以下では、産後の生理状態で病院に行く必要がある場合を5つ挙げ、ご説明させていただきます。1つでも思い当たるものがあれば、病院に行き医師に相談してみましょう。

産後の生理状態1:断乳しても生理がない

通常は断乳をすると、ホルモンバランスが変化します。授乳を促すプロラクチンが減り、エストロゲンとプロゲステロンが分泌されるようになると、生理が起こります。

しかし、断乳してもしばらくの間生理がこない場合は、かかりつけの産婦人科医を受診してください。ホルモンバランスが乱れている可能性があるか、何かの疾患の可能性もあります。いつから断乳しているのかをメモしておき、早めに医師に相談してみましょう。

病院に行く目安

それでは、断乳後どのくらいの期間生理がこなかったら、病院を受診した方がよいのでしょうか。

目安は断乳後3ヶ月をみてください。3ヶ月たっても生理が再開しなければ、病院に行き医師の診察を受けましょう。

医師に病気の有無を確認してもらい、医師からアドバイスがもらえます。次の妊娠を望んでいる方は尚更、病院の受診を先延ばしにするとどんどん時期が遅れますので、早めに病院に行きましょう。

産後の生理状態2:生理がこない

産後の授乳方法に限らず、産後1年たっても生理がこない場合は、一度病院の受診をおすすめします。

産後8ヶ月までに授乳しているママの7割から8割が、生理が再開する傾向にあります。個人差はありますが、産後1年たっても生理がこなければ、医師に相談してみましょう。

産後の生理状態3:生理不順

産後の生理は、最初は不規則でも徐々にホルモンのバランスが産前に戻り、規則正しい周期でくるようになります。

しかし、産後1年をたっても生理が不順である場合は、病院を受診しましょう。生理の周期が長すぎたり短すぎたりするのは、ストレスか、何か子宮系の疾患がある可能性があります。

「産後だから生理不順は仕方ない」ではなく、生理周期をメモしておき、いざという時は医師にスムーズに相談できるようにしておきましょう。

正常な生理期間

では、正常な生理の周期はどのくらいなのでしょうか。一般的に言われているのは25日~38日周期で、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンの分泌により調節されています。

また正常な生理期間は4~7日です。2日以下の場合や8日以上続く場合は、何らかの異常が潜んでいる可能性がありますので、医師に相談してみましょう。

産後の生理状態4:生理はあるが出血量が多い

産後の生理で、以前より出血が多いと感じている方もいます。産後は出産で子宮口が緩くなり経血がまとまって出てきていたり、久しぶりの生理で単に多く感じている場合もあります。

しかし注意も必要です。通常のナプキンで1時間、夜用のナプキンで2時間でいっぱいになるようなら病院を受診しましょう。子宮筋腫や子宮内膜症などの疾患の疑いもあるので、決して放置せずに医師の診察を受けましょう。

産後の生理状態5:下腹部痛がある

産後の生理は、ホルモンバランスがまだ安定していないので妊娠前と比べ生理痛の痛みに差が出ることがあります。ホルモンバランスが安定するまでは、生理痛がひどく感じたり、毎回症状が変わる人も多いです。

そんな症状の中でも、下腹部痛がある場合は少し気をつける必要があります。医師の診察を受けたほうがよい場合もありますで、そのご説明をさせていただきます。

心配のない痛み

下腹部痛は、生理痛の症状でよく挙げられるものの一つです。痛みがない人もいれば、痛みがひどくなる人もいます。「生理の期間だけ痛む」、また「経血の量も正常」であれば、あまり心配することはないでしょう。

我慢できない痛み・生活に支障がでてしまうほどの痛みの時は、医師に相談することをおすすめします。生理痛を緩和する生活習慣をアドバイスしてもらったり、痛み止めを処方してもらえます。

病気の場合

生理の時の下腹部痛で心配な痛みは、「寝込んでしまうほどの痛み」「経血量が多い」「鎮痛剤を飲んでも痛みがおさまらない」「生理以外でも下腹部が痛む」場合です。これらの症状がある場合は、子宮内膜症や子宮筋腫などの病気が隠れている場合があります。

これらの病気は治療をすることができます。次の妊娠を望んでいる場合は放置してしまうと不妊の原因にもなりますので、これらの症状がある場合は医師に相談してみましょう。

今後において妊娠を希望している場合の注意点

家族計画を考える上で、出産から次の妊娠までどのくらいの間隔をあけたらよいか気になる方は多いでしょう。今は初産が40代の方が増え、妊娠にリスクが伴う方が多くいます。

産後はいつから妊娠することができるのか、産後の排卵の仕組み、気をつけたほうがよいことなどを以下でご説明させていただきます。

いつから妊娠するのか

産後はいつから妊娠することができるのでしょうか。産後は、授乳を促し排卵を抑制するホルモンであるプロラクチンの影響で、妊娠しづらい体質になります。しかし妊娠しづらいといってもそれは個人差があって、絶対に妊娠しないというわけではありません。

出産から次の妊娠までどのくらいあけたらよいかはその夫婦次第ですが、前提はママの体の回復度合いです。妊娠・出産は体に大きな負担がかかります。また、帝王切開で出産された方は最低でも1年は妊娠を避けた方が良いとされています。

育児をしながらの生活にもなりますので、夫婦でよく相談してから計画を立てるようにしましょう。

生理再開の前に排卵が先に起こる場合がある

一般的に「生理がくる=排卵がある」というイメージが強くありますが、排卵は生理の前に発生するものです。産後最初の生理は、卵巣の働きが不十分で無排卵のことが多いです。しかしそれも個人差があり、人によっては産後最初の生理の前に排卵している人もいます。

つまり、生理がこなくても妊娠する可能性があるということです。よって、産後すぐに妊娠を望まない場合は「生理がきていないから安心」と思わずに、きちんと避妊をするようにしましょう。

妊娠する前に婦人科で検査

産後再び妊娠を希望する場合、婦人科に受診することがおすすめです。産後の生理に何か異変を感じている場合に限らず、子宮や卵巣は回復しているのか、また女性特有の疾患はないかを確認をするとよいでしょう。

いつから妊活をしたらよいかは夫婦の希望も大切ですが、ママの体の状態が一番大切です。また元気な赤ちゃんを授かるためにも、病院を受診し何か体に異常はないか検査しましょう。

産後の生理がいつからなのかを知ろう

妊娠により、女性は生理が止まります。出産後いつから生理が始まるのか、いつから元通りの生活ができるのか気にしている方は多いです。

出産後、次の出産に向けて動いたり、お仕事を再開する都合でも、いつから生理が来るのかを知っておくことは重要です。産後の自分の体の変化に気を配りながら、そして体を大切にしながら、出産後の生活、赤ちゃんとの幸せな時間を楽しく過ごしましょう。