インタビュー

家族への感謝の気持ちを込めて、結婚式に自分が主人公の絵本を贈ろう

人生の門出の佳き日に、家族に心づくしの感謝の気持ちを伝えたい

―MOOVED BOOKはどんな内容の絵本ですか。

佐々木さん:A5サイズで全体で20ページのミニブックです。4つの部分で構成しており、全体の7割を占めるのが絵本の部分。誕生から結婚式に至るまで、新郎様もしくは新婦様の人生をイラストと物語で綴ります。ほかに生まれた日を振り返るエピローグページと、絵本の物語の元となる写真をまとめたアルバムページ、親など家族への手紙ページに充てています。

―結婚式ではどんな風に使われるのですか。

佐々木さん:結婚披露宴の終盤、家族に花束を贈呈し、サンクスレターを読むシーンがあります。まさに結婚披露宴のクライマックスと言えますが、そこで花束と共に贈ります。またオプションになりますが、絵本と同じ内容の動画コンテンツも作り、その場で流し、ゲストの皆さんともわかち合います。

―そもそも佐々木さんがこの絵本を作ろうと考えたきっかけは何ですか。

佐々木さん:私は母子家庭で育ちました。精神的にも経済的にも母はいろいろと大変だったと思いますが、本当によくしてくれた。私がここまで成長できたのは、一所懸命に育て、守り、支えてくれた母のおかげです。
母は私にとって一番大切な存在ですが、私からその気持ちをどう伝えればいいのか、と考えていました。身近だからこそ、なかなか真正面から向き合うチャンスもなく、気持ちも伝えにくい。
でも人生の門出となる結婚式なら、その日の特別感と共に伝えられるのではないかと思いました。そして、これはきっと私一人だけではなく、多くの方に共感を持ってもらえるのではないかと思い、サービスを始めました。

絵本のプロがあなたの人生を描き出す

―絵本にしたのも理由があるんですか。

佐々木さん:はい、新郎新婦様が主人公で、それぞれの人生を振り返ることを物語の基本にしています。でもたった10数ページで思い出をすべて網羅することはできません。そこでたくさんの思い出を振り返るきっかけになるよう、文章だけでなくイラストも組み合わせ、絵の力を借りようと思いました。この絵本を見て、ご家族様が「ああ、あんなこともあったね~」「古いアルバムを見返してみようか」ということになれば、幸いです。
それから紙媒体のアナログな形で提供したい、と思いました。ブライダル関連ではすでに、お二人の人生を振り返る動画コンテンツやWeb絵本があります。でも、デジタルコンテンツはスマホやタブレット、PCなどがないと見られません。その一方で絵本ならいつでも見られるし、デジタル系が苦手な祖父母の方でも手軽に楽しめます。

―どんな風に作るのですか。

佐々木さん:まず新郎新婦様のこれまでの歩みについて、ヒアリングシートにご記入いただきます。それを基本情報とし、さらに電話やオンライン会議で詳しいお話を私かプランナーが伺います。新郎新婦様からはイラストやアルバムページの作成に利用する写真を20~30枚お送りいただき、プランナーとイラストレーター、脚本家で絵や物語を考え、新郎新婦様にお示しします。ご確認いただき、修正点なども伺い、やり取りした後、本制作に着手。完成後に新郎新婦様にお届けします。

―1冊を作るのに、役割が異なるメンバーが一つにまとまってチームとなるんですね。

佐々木さん:はい、そうです。

―制作チームで特長的なことはありますか。

佐々木さん:専属イラストレーターを募集したら、30名もの応募がありましたが、単に絵が上手ということではなく、結婚式や他人に対する熱い思いがある方3人にお願いしています。
というのも、絵本のイラストは写真を忠実に再現することではないからです。例えば「受験に合格して親子で手を取り合って泣いた」という場面を描く時、全体を描くよりも、手の部分にズームインした方が、思いが伝わるかもしれません。そういう考え方が私と近いイラストレーターにメンバーになっていただきました。三者三様の個性をお持ちなので、新郎新婦様が好きなタイプの方にお願いできます。イラストは画像データとしてもお送りするので、招待状やウェルカムボード、スマホの待受画面でもご利用いただけます。結婚式の演出に、ぜひいろんなところでお使いいただければ、と思います。
また、脚本家は、絵本として物語を引き立たせることが得意な絵本作家の方2名にお願いしています。どちらもお子様をお持ちで、子どもを持つ親の気持ちも子どもとしての気持ちもよく理解され、絵本らしく上手に表現してくださいます。

世界にたった1冊だけのオリジナル絵本

―制作に当たり心がけていることはありますか。

佐々木さん:新郎新婦様がご家族に伝えたい気持ちを上手に汲み取ることです。親子関係って、いい時ばかりではなくて、時には葛藤もあります。でもそれを隠してしまっては、その人が伝えたい感謝の気持ちが表せないので、プランニングの段階でていねいに聞き取っています。
そして、ありがとうを多用しない。思い出をすべて書き表すのではなく、イラストと物語でじんわりと伝えることを大事にしているので、感謝の気持ちもそこに包み込みたいと思います。そういう意味で絵本は、花束贈呈と共に行われるサンクスレターとも違う存在だと思います。

―とてもオリジナリティを感じます。

佐々木さん:そうですね。これまで、既存のテンプレートのメッセージの名前の部分だけ新郎新婦様に差し替えたり、サンクスレターを絵本仕立てにしたサービスはありました。でもお二人の人生は反映されていません。MOOVED BOOKは、新郎新婦様の人生が物語の基本で、さらにイラストや物語も新たに書き起こしたものなので、世界にたった1冊だけのオリジナル絵本です。

―MOOVED BOOKはどこで知ることができますか。

佐々木さん:当社のサイトやSNSでアピールするほかに、フリーのウエディングプランナーの方が新郎新婦様に結婚披露宴のアイデアを提案する際にご紹介していただくようにお願いしています。まだ始めたばかりのサービスなので、SNSや口コミなどでもっと広げたい。これまでご家族への感謝の気持ちを表す演出は花束贈呈くらいしかなかったので、今後は式場でも演出プランの一つとしてご利用いただけるようになると嬉しいです。

MOOVED BOOKが結婚披露宴に新たな価値観を見出す

―新郎新婦様の反響はいかがですか。

佐々木さん:「ていねいに作っていただきありがとうございます」と感謝の声をいただき、うれしく思いました。

―「感謝の気持ちを伝える」というテーマは受け入れられていますか。

佐々木さん:そうなんです。私もこのサービスを始めて、結婚披露宴で何を伝えたいか、どんなことを盛り込みたいかが、人それぞれであることを感じています。「友人や仲間が集まり、楽しく過ごし、美味しいものを食べたい」と思っている方もいるし、感謝の気持ちを示すのも、「これまでの花束贈呈やサンクスレターで充分」と考えている人もいます。もちろんその見方も否定はしませんが、私は結婚披露宴に新たな価値観を見出したいと思います。
例えばこれまで家族への贈り物は、花束の他に時計やマグカップなどが多く、手作りのものは少なかったのです。MOOVED BOOKはそこに新しい可能性を見出しています。
しかも、モノではなくて、自分たちの思いを込めて感謝の気持ちを表現しています。これは花束やモノよりもずっと伝わるはず。今まで花束贈呈というセレモニーの中でボンヤリとしていた「感謝の気持ち」を、よりクッキリさせることができると思います。
オプションにはなりますが、絵本の動画コンテンツ版も同時に作成できます。こちらは絵本の内容を結婚式の演出の一つとして利用することができるので、ゲストの皆さんとも絵本を楽しんでください。また、結婚記念日を刻んだUSB BOXに納めて絵本と共にお送りするので、結婚式後もいつでも見られます。将来に残る結婚式の思い出の一つになると思います。
ウエディングプランナーの方からも、「絵本も動画コンテンツも、これまで家族向けの演出が少なかったから、関心を持ってもらいやすい」という声もいただいており、心強く思います。

―MOOVED BOOKをどんな風にとらえてほしいとお考えですか。

佐々木さん:MOOVED BOOKの内容は、新郎新婦様のこれまでの歩みが中心ですが、「結婚式」というページも作っています。これはまさに結婚式当日のことで、過去ではありません。過去から現在、そして未来につなぐページで、これからの二人の生活への希望を示しています。
ご家族様もこのページを見て、二人の希望を知って、安心していただきたい。きっと結婚式当日までは、若い二人が巣立っていくことに不安や寂しさを感じておられたと思います。でも彼らはご家族にきちんと感謝の気持ちを伝え、未来を見つめています。それを知って「よし、がんばれ」「行ってこい」と背中を押すような気持ちになっていただけたら、嬉しいですね。
新郎新婦様にもMOOVED BOOKにはそんなパワーがあることを知っていただければ、と思います。