妊娠症状

【専門家監修】妊娠初期の頻尿の原因と予防法とは?頻尿の注意点3つ

妊娠初期は頻尿になりやすい?

妊娠中の母体は体の中で色々なことが変化していくので妊娠初期は頻尿になりやすいです。

妊娠の初期症状というのは人によってさまざまなものがあります。初期症状の中にはつわり以外に、頻尿、気分の変調、眠気や疲労感、お腹の張り、腹痛などがあります。

ちなみに頻尿とは「尿が近い、尿の回数が多い」という状態を指し、一般的な定義はありませんが1日に8回以上の頻度だと頻尿と言えるでしょう。

妊娠初期の頻尿の原因3つ

はじめに妊娠初期に頻尿になる原因についてご紹介していきます。妊娠初期の頻尿の原因と考えられるのは大きく分けて3つありますので一緒に見ていきましょう。

そもそも妊娠すると母体は「膀胱の筋肉の緩み」や「膀胱の圧迫」などといった形で少しずつ変化していくので妊娠中に頻尿になることはごく自然な事なのです。初期から頻尿がある場合、妊娠中期に一旦おさまる場合がありますが、後期に入るとまた頻尿になるケースが多いようです。

妊娠初期の頻尿の原因1:膀胱の筋肉が緩む

妊娠中に頻尿になる1つ目の原因は、妊娠初期に分泌される黄体ホルモンによって子宮や膀胱の筋肉が緩められることです。

例えば「トイレに行きたくなったから行ったのに少量しかでなかった」や「行こうとしたら間に合わなかった」という現象は実は黄体ホルモンが引き起こしていたのです。しかし黄体ホルモンの分泌量には個人差があるので、頻尿症状として現れない人もいるわけです。

妊娠初期の頻尿の原因2:腎臓の働きが活発になる

妊娠中に頻尿になる2つ目の原因は妊娠すると血液量が一気に増え、腎臓の働きが活性化されるため、普段より尿が排出されやすくなり尿量も増加するのです。

ちなみに妊娠すると腎臓に流れる血液量が約30%、糸球体で血液をろ過する量は50~60%増加すると言われています。そのため母体の腎臓には大きな負担がかかります。

妊娠初期の頻尿の原因3:膀胱が圧迫される

妊娠中に頻尿になる最後の原因は子宮の前方にある膀胱が圧迫されることで、尿意を感じやすくなるからです。

妊娠中は細菌感染など感染症を引き起こしやすい時期なのでできる限りこまめにトイレに行き膀胱をからっぽにしておきましょう。

妊娠初期の頻尿の注意点3つ

妊娠初期に起こる頻尿の原因がわかったところで、次は妊娠中の頻尿の注意点に関して詳しくご紹介していきます。

妊娠中はすごくデリケートな時期なのでトイレに行くだけでも気を付けなければいけない注意点があります。妊娠初期の頻尿に関する注意点は大きく分けて3つありますので、一緒に見ていきましょう。

妊娠初期の頻尿の注意点1:尿意は我慢しない

妊娠初期の頻尿の1つ目の注意点は、尿意を感じたら我慢せずにこまめにトイレに行きましょう

妊娠中は、ホルモンの影響で尿管の状態が変化することで、膀胱から尿管へ逆流しやすくなっています。

また、膣内で雑菌が繁殖し尿道に入り込みやすいことや、抵抗力が落ちることも原因になります。残尿が多くあると膀胱炎のリスクが高くなるので、こまめにトイレに行くことを意識しましょう。

妊娠初期の頻尿の注意点2:水分補給は必要

妊娠初期の頻尿の2つ目の注意点は「妊娠中は尿意を感じやすいからといって水分補給を控える」ことはやめてください。

妊娠中は尿意を感じやすいからといって水分補給を控えてしまうと脱水状態や便秘になってしまいます。妊婦さんは汗をかきやすく、脱水状態になりやすいので一日に必要な水分量は2Lと言われています。

妊娠初期の頻尿の注意点3:尿もれパッドを使用する

妊娠中は、ホルモンの影響で骨盤が緩むことによって尿漏れも起こしやすい状態になります。程度は人によりますが、尿漏れがある場合は尿漏れパッドを使ってみるとよいでしょう。

すぐにトイレにいけない状況だったとしても尿もれパッドを着用していることで大丈夫という安心感があれば、水分も遠慮なく取れるのでストレスも感じにくくなります。夜だけ使用するのも良いでしょう。

妊娠中の頻尿を予防する方法3つ

妊娠初期の妊婦にとって頻尿は自然なことなのですが、頻尿を抑える予防策は存在します。

妊娠中は体の変化が大きくデリケートな期間なのでカフェインを多めに摂取したり体を冷やしてしまうことで余計に頻尿の症状を促進させてしまう可能性が高まるので注意が必要です。

妊娠中の頻尿を予防する方法1:カフェインは控える

妊娠中の頻尿を予防するには利尿作用の強いカフェインの取りすぎは控えるようにしましょう。

妊娠中は今までよりカフェインの影響が強く出やすいこともあります。また、カフェインは胎盤を通過して赤ちゃんに蓄積してしまう可能性があります。

カフェインの摂りすぎは、赤ちゃんの発育不全に影響するといわれているため、そういった意味でもカフェインの摂取は控えることをお勧めします。

妊娠中の頻尿を予防する方法2:体を冷やさない

妊娠中の頻尿を予防するには体を冷やさないように注意しましょう。体を冷やしてしまうとトイレが近くなってしまい、頻尿の症状を悪化させてしまいます。体が冷えることで尿を出そうとする交感神経が過敏になるからと考えられています。

体を冷やさない対策としてひざかけを使用したり、お風呂で湯船につかって温まる、ホットドリンクを飲むなどの工夫を行い、日常的に体が冷えないように気を付けましょう。

妊娠中の頻尿を予防する方法3:医師に相談する

妊娠中の頻尿を予防する3つ目の方法は医師に相談してみるということです。「上記の2つの方法でもなかなか改善されない」「頻尿の症状に加えて下腹部が痛い」という方は早めに医師に相談しましょう。

軽い膀胱炎の場合は自然に症状が治まる場合もありますが、妊娠中はその他の尿路感染症にも罹りやすい状態です。治療をしたほうがいい場合もあるので、つらい症状が続く場合は医師に相談しましょう。

妊娠初期の頻尿ではないケースもある

排尿感(しみるような痛み)やおしっこの濁りなど頻尿の症状とは違う特徴があるなら妊娠中の頻尿ではない可能性があります。

妊娠中は免疫力が下がり様々な細菌に感染しやすいので尿道への細菌感染のリスクもあります。次は妊娠中の頻尿ではないケースを3つご紹介します。いずれも妊婦であれば誰でも感染の可能性はありますのでしっかり確認しておきましょう。

頻尿で考えられる病気1:膀胱炎

排尿感(排尿の際のぴりっとする痛み)・残尿感、おしっこの濁りなどの症状がある場合は膀胱炎の可能性を疑いましょう。

妊娠中は免疫力が下がり膀胱炎にもかかりやすいのです。なぜなら妊婦はお腹が大きくなることで子宮は尿が通る尿管や腎臓を圧迫し、この圧迫により、尿の逆流を引き起こしてしまうのです。

頻尿で考えられる病気2:尿路結石症

血尿や左右どちらかの鋭い腰痛を感じた場合は尿路結石症かもしれないので焦らずすぐに病院へ相談しましょう。

そもそも尿路結石症とは尿路に結石ができる病気で高血圧や肥満などといった生活習慣病を患っている場合は尿路結石を発症しやすいのです。尿路結石のリスクが不安な場合は妊婦健診などで相談することをおすすめします。

頻尿で考えられる病気3:腎盂腎炎

腎盂腎炎は腎臓の髄質が細菌によって炎症を起こしてしまう病気で、膀胱からの尿の逆流によって引き起こされます。

つまりは頻尿の症状が出ていた時に尿をこまめにださなかったりしたことで尿に含まれる細菌が腎臓まで到達してしまったということです。発熱や血尿、腰背部痛といった症状がある場合は腎盂腎炎の可能性を疑いすぐに病院に連絡し受診しましょう。

妊婦初期に見られる頻尿以外の症状4つ

妊娠初期は体の変化が大きく妊婦自身も変化を感じやすい時期でもあります。

妊娠中の症状というのは人それぞれですが多くの妊婦さんが感じている妊娠初期の症状を4つピックアップしました。妊娠するとホルモンバランスなどが崩れやすくおりものの量が増えたり便秘になったりという症状も出てきます。

これまで妊娠中の頻尿に関してご紹介してきましたが頻尿以外の症状も確認しておきましょう。

頻尿以外の症状1:おりものが変化する

妊娠するとおりものの量が増えたり、生理中や生理前とは違い色が乳白色や白っぽくなったりと変化が現れることがあります。

妊娠すると新陳代謝が活発になり、卵胞ホルモンの分泌が増えることでおりものの量が増えます。この変化によって妊娠に気づく人も多いのです。

頻尿以外の症状2:便秘

妊娠している人は便秘に悩んでいる人は多いのでないでしょうか?市販薬は妊娠中に禁忌のものもあるので、自己判断で内服することは避けましょう。

そもそも妊婦さんが便秘になりやすい理由はホルモンの影響で腸の動きが悪くなることや子宮が大きくなることで腸の動きを妨げることなどが考えられます。便秘の解消のために水分や乳酸菌、オリゴ糖、食物繊維などを摂取してみてください。

水分や乳酸菌を取ることで肌荒れも解消されるのでおすすめします。便秘がつらい場合には健診の際医師に相談しましょう。

頻尿以外の症状3:下痢

妊娠初期は便秘とは反対に下痢の症状が現れたりすることがあります。

下痢の原因も便秘と同じようにホルモンバランスの変化によって起こることがあります。慌てず様子をみていても問題はないですが、なかなかおさまらずつらい場合には病院に相談してみましょう。

頻尿以外の症状4:出血

妊娠初期は出血を経験する妊婦さんも多くおり、4-5人に1人は出血を経験すると言われています。茶色いおりもの、薄いピンク色でごく少量の場合には様子をみていても構いませんが、心配な場合は病院に相談してみましょう。

出血量が多い、下腹部痛が伴う場合などは流産などの可能性もあります。病院へ連絡し受診したほうがよいこともあります。

妊娠初期の頻尿は自然なこと!

妊娠初期の頻尿の原因や対処法3つ、頻尿ではないケースなどをご紹介させて頂きましたが、いかがでしたでしょうか。

妊娠すると膀胱の筋肉の緩みなどが原因で頻尿症状を引き起こしてしまいますが、妊娠初期の頻尿は多くの妊婦が経験していることなので安心してください。

しっかりと予防策をとっておけば防げることもあります。自身の体調の変化を注意深く観察しながら、無理のないように過ごしましょう。