妊娠症状

【専門家監修】子宮内膜症とは?子宮内膜症で妊娠するための治療方法3つ

子宮内膜症になると妊娠できない?

子宮内膜は子宮腔表面を覆う粘膜組織のことを指します。この子宮内膜に似た組織が子宮以外に入り込んでいる場合を子宮内膜症と言います。

子宮内膜症は不妊の原因の1つといわれていますが、必ずしも不妊症になるわけではありません。しかし、病状が進むと悪影響を及ぼす場合がありますので、早期発見が大切になります。

子宮内膜症の特徴

子宮の内側には子宮内膜という粘膜組織が存在します。卵巣からのホルモン作用で粘膜は厚くなり、妊娠が成立しなかった場合に剥がれ落ちて月経出血として排出されます。

この子宮内膜に似た組織が子宮以外の卵巣や腹膜などに入り込んで出来てしまうことを子宮内膜症と呼びます。月経に伴って組織に出血するので強い月経痛を訴える方も多くいます。

卵巣チョコレートのう胞

卵巣に子宮内膜が出来たものを卵巣チョコレート嚢胞と呼びます。卵巣に病巣を形成した子宮内膜症が進むと卵巣内に嚢胞を形成します。この嚢胞内に月経出血を繰り返し、古い血液が溜まって変色したものがチョコレート色に見えるのでそう呼ばれています。

チョコレート嚢胞は月経痛や不妊といった女性に深く関わる病気です。年齢やライフスタイルに合わせた治療・管理が必要になります。

子宮腺筋症

子宮腺筋症は子宮内膜に似た組織が子宮の壁である子宮筋層内で増殖する病気です。女性ホルモンの影響を受け正常な子宮内膜と同じように増殖と剥離を繰り返すため子宮筋層が厚くなり、子宮が肥大します。

また、子宮が大きくなる病気として子宮筋腫があり識別が難しい場合があります。

発生原因は今のところ明らかにはなっていませんが、30代後半から40代以降の出産経験のある人に多くみられます。なお、ホルモンの分泌が減少して閉経する時期を境に症状は治まるといわれています。

子宮内膜症と妊娠率

子宮内膜症の場合30%〜50%の人が不妊で、不妊症の方の25%〜50%が子宮内膜症であるといわれています。なお、チョコレート嚢胞の重症例だと妊娠の確率がおよそ5%という報告もあります。

妊娠を希望する人はもちろんですが、将来的に妊娠を考えている若い人も早めの治療が不妊を防ぐことに繋がるでしょう。

生理痛がひどい人や家族に子宮内膜症の方がいる人は早めに専門医に相談することをおすすめめします。

子宮内膜症の早期発見ポイント4つ

子宮内膜症の代表的な症状は、月経を繰り返すたびに酷くなる月経痛です。病状が悪化すると月経時以外にも下腹部が痛むなどの症状が出てくるといわれています。ですから初期症状の生理痛がポイントになってきます。

その他遺伝的な要素もありますが、初期症状が現れた時点で我慢せずに婦人科を受診しましょう。

ここからは子宮内膜症の早期発見ポイントを4つ紹介していきます。ぜひ参考にしてみてください。

宮内膜症の早期発見ポイント1:生理痛がひどい

子宮内膜症の自覚症状で最も多いのは生理痛の痛みです。月経を重ねるごとに痛くなっていくのが特徴的で、寝込んでしまうほど月経痛が酷い人もいるでしょう。

程度の差はあれど、殆どの女性が月経痛は経験するものですが、内膜症の女性は日常生活に支障をきたすほど重症の人もいます。

最近月経痛が酷くなってきたり、いつもと違うなと感じた人は早めに病院で診てもらうようにしましょう。

子宮内膜症の早期発見ポイント2:なかなか妊娠しない

子宮内膜症の症状の2つ目は妊娠しづらいことです。不妊の女性の30%程度に子宮内膜症の合併があるといわれています。これは不妊治療が飛躍的に進歩した現在も大きな課題とされています。

ですが、子宮内膜症の人が必ずしも不妊症になるとは限りません。子宮内膜症でも自然妊娠してる人はいるといわれています。特に妊娠を目指す女性は早期発見のためにも定期的な検診をおすすめします。

子宮内膜症の早期発見ポイント3:遺伝

子宮内膜症は遺伝的な要素も含まれていると考えられています。お母さんや姉妹で子宮内膜症を患ったことがある人はなるべく早く婦人科を受診したほうがよいでしょう。

早期発見で病気の進行を抑え症状を軽減することができるといわれています。

宮内膜症の早期発見ポイント4:その他の痛み

子宮内膜症の初期症状は生理痛が多いのですが、病勢が進むと性交痛、排便痛、腰痛などを訴える人も多くいます。

月経時以外でも下腹部痛などの痛みがある場合は要注意です。これらの症状がみられる場合は早めに婦人科を受診しましょう。

子宮内膜症で妊娠するための治療方法3つ

子宮内膜症で妊娠するための治療法には何通りかあります。病状の進行具合や不妊の期間などで治療法は変わってきます。専門医とよく相談した上で適切な治療法を提案してもらいましょう。

ここからは、子宮内膜症で妊娠するための治療方法3つを詳しく紹介していきます。ぜひ参考にしてみてください。

子宮内膜症で妊娠するための治療方法1:手術療法

子宮内膜症の手術療法には病巣部のみを摘出する方法と、卵巣・子宮を全部摘出する方法があります。こちらでは妊娠するための治療法なので病巣部のみの摘出について説明します。

妊娠希望の場合、卵巣や卵管をできるだけ本来の形・位置関係に残す必要があります。病巣を取り除いたり、高周波で子宮内膜症病巣を凝固したり腹腔内を洗浄したりして妊娠をしやすくします。

子宮内膜症で妊娠するための治療方法2:排卵を誘発

比較的軽症で卵管の癒着がない、あっても軽度であれば自然妊娠を試みます。

それでも妊娠しない場合は、排卵誘発剤を使用して卵巣を刺激し、排卵する数を増やしてから人工授精をする治療法もあるといわれています。

子宮内膜症で妊娠するための治療方法3:体外受精

子宮内膜症が軽度の場合でも、30歳以上の人や、不妊期間が長い場合は体外受精をすることができる場合があります。

重症の場合は正常に排卵しても、卵管采が卵子をキャッチできないために受精できなかったり、受精できても受精卵が卵管内をスムーズに移動できず、子宮内膜に到達できないまま着床して子宮外妊娠になる可能性があります。

自然妊娠が難しい場合は体外受精も視野にいれましょう。なお、体外受精を行う場合は男性側にも不妊の要素がないかチェックする必要があります。

妊娠を急がなければ低用量ピルが治療に役立つ

子宮内膜症は激しい生理痛を訴える方が多いです。生理痛の原因は黄体ホルモンにあります。生理痛を軽くする、あるいは無くすためには黄体ホルモンの分泌を抑えることが有効的だといわれています。

この場合に、低容量ピルを服用することがあります。ピルには卵胞ホルモンと黄体ホルモンのが含まれているため、服用している間は一時的に排卵がストップします。

内膜症は放置しておくと、毎月卵巣から分泌される黄体ホルモンと卵胞ホルモンで進行していく病気なのでピルを服用することで進行を食い止めたり、軽減することが出来るでしょう。

子宮内膜症の主な検査方法3つ

子宮内膜症は気づきにくい病気だといわれています。生理痛がひどい方や妊娠を希望されている方は早めの検診をおすすめしています。適切な検査を受けて、早めの治療を心がけましょう。

ここからは、子宮内膜症の主な検査方法3つを詳しく見ていきます。ぜひ参考にしてみてください。

子宮内膜症の検査方法1:問診と超音波検査

子宮内膜症の診断は問診や超音波検査などで検査します。まずは問診から行いますので的確に答えられるようにしましょう。

問診では初月経がいつか、月経期間、痛みの程度、最終月経日や月経量、持病の有無などを聞かれることが多いでしょう。

超音波検査ですが、ゼリーを塗ったお腹の上から器具を当てて診る場合と、膣から診る場合があります。子宮や卵巣の状態を映して確認します。

子宮内膜症の検査方法2:血液検査

子宮内膜症の診断のもう1つの方法は血液検査です。血液検査は補助的な役割になりますが、内膜症の場合、血液中のCA-125やCA19-9の腫瘍マーカーが高くなることがあります。

殆どの場合、内膜症の診断は問診、超音波検査、血液検査で確定することが出来るといわれています。

子宮内膜症の検査方法3:MRI

さらに詳しく調べるためにはMRIという検査方法もあります。内膜症の検査としてはCTよりMRIのほうが効果的といわれていて、磁気で体の断面を色々な角度から見ることができます。

卵巣がんとの区別や内膜症の癒着の状態などを確認することが出来ます。

子宮内膜症でも妊娠はできる!早めに専門医に相談しよう

この記事でも紹介したように子宮内膜症でも妊娠出来るケースはあります。

妊娠を希望している人はもちろんのこと、将来的に妊娠を考えてる人も当てはまる症状があれば躊躇することなく受診しましょう。遺伝的な要素もあるので、今症状がない人でもお母さんや姉妹の方で内膜症を患ったことがある人も定期的な検診をおすすめします。

早めの治療が病気の進行を抑えるためには効果的です。妊娠を希望されている方は専門医と相談して適切な治療法を提案してもらいましょう。