子育て

【専門家監修】赤ちゃんの吐き戻し対策って?授乳後の体勢やいつまで続くかも解説

赤ちゃんが飲んだ母乳やミルクを突然吐いたら心配になる人も多いのではないでしょうか。赤ちゃんが飲んだ母乳やミルクを吐く「吐き戻し」は、しばしば見られます。

多くの場合赤ちゃんの吐き戻しは心配のないものですが、中には注意が必要なものもあり、状況に応じて判断することが必要です。

この記事では、赤ちゃんが吐き戻す原因や吐き戻しの対策、注意すべき吐き戻しの症状などを解説します。

記事を読むことで、吐き戻しを防ぐ方法や、いつまで続くのか、またどのような場合に受診が必要なのかを知ることができるでしょう。最後に吐き戻し対策におすすめのアイテムも紹介します。

赤ちゃんの吐き戻しに不安のある人はぜひチェックしてみてください。

そもそも吐き戻しとは?

吐き戻しとは、赤ちゃんが飲んだ母乳やミルクを吐き出すことをいいます。生まれたばかりの乳児に多い現象で、成長すると自然におさまることがほとんどです。

しかし、まれに病気が隠れている場合もあるので、吐き戻しのパターンや赤ちゃんの具合などをしっかりと確認する必要があります。

吐き戻しと嘔吐の違い

乳児のときによく起こる吐き戻しと嘔吐は同じように聞こえますが、実は微妙な違いがあります。吐き戻しとは、授乳直後に飲んだミルクそのものが吐き出されることをいいます。

嘔吐は一度胃の中に入ったミルクを吐き出すので、胃液が混じりヨーグルトのようなどろどろな状態で吐き出されることが多いです。

しかし、嘔吐でも吐き戻しと同じような状態で吐き出されることもあるので、素人判断が難しい場合もあります。

赤ちゃんが吐き戻してしまう原因

赤ちゃんの吐き戻しの原因は大きく分けると4つあり、そのほとんどが乳児によくある生理現象です。しかし、病気が原因の吐き戻しもありその場合は速やかに病院へ行く必要があるので、原因は何なのかしっかりと確認しましょう。

ここでは、赤ちゃんの吐き戻しの主な原因を病院へ行く必要があるのかなども含め紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

ゲップが不足している

産まれたばかりの赤ちゃんは、母乳やミルクを飲むのに慣れていないので空気も一緒に飲み込みやすいといわれています。

そのため、授乳後のゲップが不足すると飲み込んだ空気の刺激でミルクなどを吐き戻してしまうことがあるので、赤ちゃんが不快な顔をしているときは2〜3回ほどゲップを促しましょう。

母乳やミルクを飲みすぎている

産まれたばかりの赤ちゃんは満腹と感じる感覚が鈍いといわれています。そのため、与えた分だけ母乳やミルクを飲んでしまいますし、胃が小さく大量のミルクなどを飲み込むことが難しいので、多く飲みすぎた分は吐き戻してしまいます。

吐き戻しが頻繁に起こる場合は、母乳やミルクを与える量が適切か確認しましょう。

胃がまだ未熟である

大人の胃は入り口が閉じ、胃の形もカーブしているので嘔吐などがしにくい作りをしていますが、赤ちゃんの胃の入り口は開いていて形もカーブしていない未熟な状態だといわれています。

そのため、母乳やミルクを吐き戻しやすいですが、赤ちゃんの成長とともに胃が発達していくので自然に吐き戻しにくくなるでしょう。

病気が潜んでいる可能性がある

赤ちゃんの吐き戻しの原因は、生理現象が多いのでさほど心配がない場合がほとんどだといわれていますが、まれに病気が潜んでいる場合もあるので注意が必要でしょう。

病気が原因の吐き戻しで多いのが、急性胃腸炎・アレルギー・胃食道逆流症(GERD)といわれています。

肥厚性幽門狭窄症(ひこうせいゆうもんきょうさくしょう)・腸回転異常症・腸重積・腸閉塞・胃軸捻転症(いじくねんてんしょう)などの病気の場合は外科治療が必要でしょう。

いつもと様子が違う場合は、早めに病院へ相談をしに行きましょう。

赤ちゃんの吐き戻し対策

吐き戻しが起こると苦しくないか心配になったり、吐き戻したミルクなどを拭くのにタオルの準備が必要になったりと子育てで注意することが増えることでしょう。しかし、授乳の仕方や授乳後の対策を工夫すると赤ちゃんの吐き戻しを予防することができるといわれています。

ここからは吐き戻しに役立つ詳しい対策を、5つ紹介するのでぜひ参考にしてみてください。

縦抱きにして授乳をする

赤ちゃんの授乳後の姿勢を縦抱きにすると、食道への逆流を防ぐことができ、吐き戻し対策に効果的といわれています。

首のすわっていない赤ちゃんの基本の抱き方は横抱きですが、頭と腰をしっかりとささえてあげれば、首がすわる前の赤ちゃんでも縦抱きが可能でしょう。しかし、油断は禁物なので生後3〜4ヶ月までは注意をしながら縦抱きをしましょう。

ラッチオンの確認をする

授乳中に赤ちゃんが空気を飲み込んでしまう多くの原因が、ラッチオンが上手くできておらず浅飲みになっているときといわれております。

ラッチオンとは、赤ちゃんが乳首を吸うときの動きに合わせながら母親が円滑に乳首を赤ちゃんの口に含ませ吸着させることをいいます。

赤ちゃんと母親のお腹を向かい合わせ適切なラッチオンができると、空気を飲み込むことなく効率的に母乳を飲むことができるので、吐き戻しが起こりにくくなるでしょう。

授乳量の確認や調節をする

赤ちゃんの吐き戻しが気になる場合は、授乳量を確認しましょう。母乳の場合はミルクより授乳量が確認しにくく、赤ちゃんの夜泣きやぐずりが続くと授乳量が足りないのかと不安になり与えすぎる傾向があります。

そういった場合に有効な対策は、直母量を確認することです。母乳の出具合・赤ちゃんの体重増加具合・1日の哺乳回数などトータルで確認すると調べることができるので、助産師などに相談するとよいでしょう。

授乳途中にもゲップを促す

赤ちゃんの吐き戻しの対策に授乳後にゲップをさせますが、授乳途中にもゲップを促すのも効果的といわれています。

吐き戻しをしやすい赤ちゃんは、授乳中に空気を飲み込みやすい飲み方をしている場合が多いので、早めにゲップを促すことで楽に空気を出すことができるでしょう。吐き戻しが気になる場合の対策に試してみましょう。

授乳後の頭の位置を高くする

3カ月頃までの赤ちゃんは胃がとっくりのような形をしており、胃の入り口の筋肉も未発達のため、吐き戻しをしやすくなっています。

胃の中の母乳やミルクを逆流させないためには、授乳後の頭の位置を高くするのが効果的です。このとき、ベビー枕やクッションなどを使って無理のない姿勢にしてあげましょう。

ベビー枕やクッションなどを使用する際は、赤ちゃんのそばを離れず、見守ってあげるようにしてください。

出典:赤ちゃんの溢乳|すえふじ医院 小児科
参照:https://www.suefujishounika.com/post/%E8%B5%A4%E3%81%A1%E3%82%83%E3%82%93%E3%81%AE%E6%BA%A2%E4%B9%B3

右側を下にして寝かせる

胃と腸が繋がる部分は身体の右側にあるので、授乳後少し時間をおいてから右側を下にして寝かせると消化が促進されるので吐き戻しにくくなるといわれています。

しかし、寝返りが苦手な赤ちゃんはうつ伏せ寝になりやすかったり、乳児突然死症候群(SIDS)という原因不明の突然死が起こる危険性があるので、首がすわってきた頃に様子をみながら行ってください。

特に、生後6ヶ月未満の赤ちゃんは寝かせ方に注意しましょう。

赤ちゃんの吐き戻しはいつまで続く?

赤ちゃんの吐き戻しは個人差もありますが、生後3ヶ月頃〜遅くても1歳頃までにおさまることが多いといわれています。

健康的な赤ちゃんであれば、月齢が上がると胃や食道の機能が発達し自然に吐き戻しをしなくなるので、それまではいろいろな方法で対策をしましょう。

赤ちゃんの吐き戻しパターンと対策

赤ちゃんの吐き戻しにはいくつかのパターンがあります。どのような吐き戻し方のときに、どのような対策をすれば良いのか、ここでは吐き戻しのパターンと対策について見ていきましょう。

少量がだらだら出てくる

赤ちゃんの吐き戻しが少量で、だらだらと出てくる現象を溢乳(いつにゅう)といいます。産まれたばかりの頃は胃が未発達のためよく起こる生理現象なので、心配する必要はないでしょう。

月齢が上がり胃が完成してくると溢乳は自然に起こらなくなるといわれています。それまでは、タオルなどを多めに準備しておき慌てずに対処しましょう。

毎回吐き戻す

赤ちゃんが毎回吐き戻す原因は、母乳などの与えすぎか胃食道逆流かのどちらかといわれています。母乳の与えすぎが原因の場合は、直母量の確認などの対策をすると予防できるでしょう。

母乳の量が適正でも吐き戻す場合は、胃食道逆流の可能性が高いです。乳児は胃と食道が未熟なので胃食道逆流にかかりやすいですが、成長すると自然におさまることが多いので、胃食道逆流になったら授乳量を減らし、その分回数を増やすなどの対策をしましょう。

大量に吐き戻す

赤ちゃんが大量に吐き戻す際には注意が必要です。生理現象の場合もありますが、それ以外の原因があることも考えられるため、一旦時間をおいて赤ちゃんの様子を確認しましょう。

不機嫌だったり、発熱や下痢があったりするなど、吐き戻す以外にいつもと違う様子があれば、医療機関の受診を検討するようにしてください。

吐き戻しが鼻から出る

鼻と口はつながっているので、母乳やミルクを飲みすぎたり勢いよく吐き戻すと鼻から出ることもあります。

授乳量が多くないか確認し、飲ませた後はすぐに寝かさず縦抱きをするなど対策をすると吐き戻し予防になるでしょう。

吐き戻したあとすぐに飲みたがる

赤ちゃんが吐き戻したあと、すぐまた母乳やミルクを飲みたがる場合、赤ちゃんはお腹が空いている状態です。そのため、母乳やミルクを飲ませてあげましょう。

このとき一度にたくさん飲ませると、また吐き戻してしまう可能性があります。飲ませるときは一気に飲ませるのではなく、少しずつ飲ませるように注意してください。

しばらく経ってから吐き戻す

授乳後すぐではなく、しばらく経ってから吐き戻す場合には、何かの原因で赤ちゃんに腹圧がかかってしまった可能性があります。

赤ちゃんの鼻や喉に吐き戻したものが詰まっていないかを確認し、口の周りをきれいに拭いてあげてください。

大泣きしたり、ぐったりしたりすることがなく、元気な様子であれば問題はないでしょう。時間を開けて、授乳してください。

吐き戻したものが気管に入ってしまったときの対処法

吐き戻したものが気管に入ってむせてしまったら、赤ちゃんを縦抱っこして背中をさすってください。意識があり苦しそうでなければ心配する必要はないでしょう。

苦しそうにしている場合には、背部叩打法を行い、気管に入ったものを取り除いてください。そのほかにも症状がみられる場合には、医療機関を受診しましょう。

苦しそうにしていて意識がない場合には救急隊へ連絡してください。

吐き戻したあとにすること

赤ちゃんが吐き戻してしまうと心配になる人が多いでしょう。赤ちゃんが吐き戻してしまっても、慌てることなく対処することが大切です。

ここでは、吐き戻したあとの赤ちゃんのお世話について見ていきます。

汚れたものをすぐに片付ける

吐き戻したもので汚れた服を着せたままにしておくと、吐き戻したものの臭いが原因で赤ちゃんが再び吐いてしまう場合があります。

また、吐き戻しで濡れた服が赤ちゃんの体を冷やしてしまうため、吐き戻しで汚れた服などはすぐに片付け、着替えさせましょう。

少しずつ水分補給をする

赤ちゃんが吐き戻したあと、少し様子を見て落ち着いているようであれば母乳やミルクを飲ませて水分補給をしましょう。

赤ちゃんの胃は小さいため、一度にたくさん与えるのではなく、少しずつこまめに飲ませるように気を付けてください。

顔を横に向けて寝かせる

赤ちゃんが吐き戻したあとに寝かせる場合は顔を横に向けて寝かせることが必要です。仰向けにして寝かせると、再び吐き戻してしまったときに、吐き戻したものが気管に入ってしまう可能性があります。

そのため、赤ちゃんの顔は横に向けて寝かせるようにし、仰向けに寝かせるのは避けてください。

注意すべき吐き戻しの症状

赤ちゃんの吐き戻しの中には注意すべきものもあります。ここでは、どのような症状の場合に注意が必要なのか見ていきましょう。

注意すべき症状が見られたときは、状況に応じて病院や救急外来を受診してください。

吐き戻した後の様子が違う

赤ちゃんが吐き戻したあとの様子がいつもと違う場合には注意が必要です。ぐったりしていたり、機嫌が悪かったりする場合には医療機関を受診しましょう。

また、吐き戻したものの色なども注意深く観察してください。以下で解説するような吐き戻しがあった場合には受診した方が良いでしょう。

ヨーグルト状

吐き戻したものがヨーグルト状のものの場合、消化している途中のものが吐き戻された可能性があります。

稀にヨーグルト状の吐き戻しがある程度なら問題はありませんが、頻繁にヨーグルト状のものを吐き戻す場合や、いつもと様子が違う場合には受診することが必要です。

黒や茶色

黒や茶色の吐き戻しがある場合には、赤ちゃんの胃から出血している可能性があるため、速やかに受診する必要があります。

受診する際には、吐き戻しの状態や吐き戻した回数などを詳しく説明しましょう。

出典:赤ちゃんの嘔吐|千葉県医師会
参照:https://www.chiba.med.or.jp/general/millennium/pdf/millennium60_13.pdf

ねばついている

赤ちゃんの吐き戻したものがねばついている場合は、ミルクの残りかすである可能性があります。

そのため、赤ちゃんの様子を見て普段と変わりなく元気であれば問題ありませんが、吐き戻しのほかに、発熱や下痢、機嫌が悪いなど普段と違う様子が見られるようであれば、病院を受診した方が良いでしょう。

発熱や下痢がある

吐き戻しの症状のほかに、発熱や下痢がある場合、感染性胃腸炎の可能性があります。感染性胃腸炎の場合、嘔吐や下痢で脱水症になる可能性があるため、早めに受診することが必要です。

また、感染性胃腸炎は感染するため、吐き戻したものや唾液には直接触らず、ゴム手袋を使用するなどして、家族にうつらないよう衛生管理を徹底しましょう。

出典:乳幼児嘔吐下痢症(感染性胃腸炎)|妹尾小児科
参照:http://senoopc.jp/disease/winterdia.html

いつもと違う吐き戻しで病院を受診するときのポイント

いつもと違う吐き戻しがあり病院を受診する場合、いつ、どんなものを、何回吐き戻したか、また気になる症状などを医師に伝えましょう。

受診する前に、予めメモをとっておくとスムーズに受信できます。正確な情報を伝えることで、的確な診断につながるでしょう。

吐き戻し対策におすすめのアイテム

何度も吐き戻しをされると、何度も着替えさせる必要があり、赤ちゃんにとっても保護者にとっても負担になります。

そこで、ここからは吐き戻しの対策に使えるおすすめのアイテムを見ていきましょう。

赤ちゃんの城「バープクロス カラフル」

やわらかな6重ガーゼで作られた、かわいいパステルカラーのクロスです。肩にかけて使うことで、赤ちゃんのゲップや吐き戻しで服が汚れるのを防ぐことができます。

スナップを留めるとスタイとしても使えるため、1枚2役でとても便利です。

エイデン アンド アネイ「バーピービブ」

やわらかく吸収しやすいこのバーピービブはよだれかけとしてだけでなく、吐き戻しカバーとしても使用することができます。

大きめのサイズで吐き戻しをしっかりと吸収し、服が汚れるのを防いでくれるのが特徴です。洗濯すればするほどやわらかくなるのも嬉しいポイントと言えるでしょう。

サンデシカ「ベビー枕 吐き戻しをやわらげるスリーピングピロー」

頭を高くすることで赤ちゃんの吐き戻しをやわらげるベビー枕です。腰のあたりから寝かせて、ゆったりと頭を高くするため赤ちゃんに無理のない姿勢で寝かせることができます。

横幅が広く、赤ちゃんが枕から落ちにくいのも嬉しいポイントです。カバーを取り外して洗うことができるため、いつも清潔に使用することができるでしょう。

ハナロロベビー「pono」

適度な斜めの姿勢を保つことで、赤ちゃんが吐き戻しにくくなる枕です。新生児の頃は中のウレタンを出して、体重が増えてきたらウレタンを入れて、大きくなったら付属のつぶ綿を使うことで長く愛用することができます。

まるごと洗うことができ、清潔に使用できるのも嬉しいポイントです。

正しく理解して赤ちゃんの吐き戻し対策をしよう

産まれて間もない赤ちゃんは頻繁に吐き戻しますが、その多くが生理現象なので心配はないでしょう。しかし、吐き戻しの症状によっては病気が隠れている場合もあるので、日頃から赤ちゃんの様子をよく観察しましょう。

赤ちゃんの吐き戻し対策は、抱っこの姿勢を縦抱きにするなど普段の生活の中でできることばかりなので、ぜひ試してみてください。