妊娠症状

【専門家監修】妊娠検査薬の仕組みとは?妊娠検査薬で陽性が出るケース5つを紹介

妊娠検査薬の仕組み

妊娠すると身体はおなかの中の赤ちゃんを育てる準備を始めます。そのひとつの現象として、胎盤でhCGというホルモンがつくられます。hCGは、受精卵が子宮に取り込まれるとつくられるようになり妊娠4週目頃になると尿中に出でくるようになります。

妊娠していなければ、hCGが尿中に出ることはないため、妊娠を確認できるひとつの方法でもあります。しかし、使うタイミングを誤ると正しく妊娠判定ができないこともあります。

妊娠検査薬を使うタイミングとは

妊娠検査薬を使う理想的なタイミングは、生理予定日の1週間後からです。

妊娠検査薬に反応するhCGは、生理予定日頃から急激に増え始めるため、生理予定日を過ぎ1週間経過した頃には、妊娠検査薬に充分反応する量が尿中に出ている頃です。そのため、妊娠していれば妊娠検査薬が陽性になるはずです。

しかし、生理予定日前に検査してしまうと、例え妊娠していても妊娠検査薬が陰性になる場合があります。

フライング検査に注意

妊娠検査薬の精度は、正しく使用すれば99%と言われており、かなり精密な検査ができるでしょう。使用方法のうち、特に大事なことは検査をするタイミングです。生理前や生理予定日頃に行うフライング検査には注意しましょう。

検査時期を待てずに検査してしまうという人も少なくありませんが、フライング検査してしまうと、妊娠検査薬に反応するhCGが尿中に少なく、正しい検査結果を得られないこともあります。

妊娠検査薬で陽性だと妊娠している?

妊娠を疑い妊娠検査薬を試して陽性だった場合は妊娠している可能性はかなり高いと言えるでしょう。しかし、妊娠検査薬だけでは、正常な妊娠をしているかどうかまでは知ることは出来ません。

また、妊娠していない場合でも稀に陽性が出ることもあります。

妊娠検査薬で陽性が出るケース5つ

妊娠検査薬で陽性が出るケースは、妊娠している場合だけではありません。妊娠していても正常妊娠でない場合や、飲んでいる薬や投与しているホルモン剤、病気などの影響で陽性反応がでることがあります。

ここでは、それらの妊娠検査薬で陽性が出るケースを5つ紹介します。どんな場合であっても陽性反応が出た場合は、できるだけ早めに受診するようにしましょう。

陽性が出るケース1:妊娠している

妊娠検査薬で陽性が出た場合、特に妊活中などの妊娠を意識している人なら妊娠している可能性はかなり高いと言えるでしょう。しかし、妊娠していて陽性反応がでるケースには異常妊娠の場合も含まれます。

特に妊活中の人であれば陽性反応は嬉しいものですが、陽性という結果だけではまだ安心して喜べないのが現実です。異常妊娠であれば母親の身体にも危険が及ぶため、必ず早めに受診するようにしましょう。

陽性が出るケース1:尿の量が多すぎる

妊娠検査薬に尿をかけすぎてしまうと、正しい検査結果が得られないことがあります。尿の量が多すぎて、判定窓に表示されなくなったり、判定結果が見えにくくなることもあります。

また、糖尿、血尿、蛋白尿などがある場合も結果が陽性となることがあります。しかし、かける量が少なすぎても正しい結果が得られない可能性もあるため、尿の量は検査薬に表示されている適切な量で検査しましょう。

陽性が出るケース2:性腺刺激ホルモン剤などを使用している

不妊治療中や、黄体不全機能の治療でhCGを含む性腺刺激ホルモン剤などを投与している場合は、ホルモン剤のhCGに反応して陽性になることがあります。

しかし、不妊治療中に服用する薬でも性腺刺激ホルモン剤を含まない薬もあるため、妊娠の可能性もあります。そのため、薬を服用しながら不妊治療をしている人は自分が服用する薬をよく知ることも大切です。

陽性が出るケース3:子宮外妊娠など異常妊娠の場合

受精卵は、卵管を転がりながら細胞分裂を繰り返し胚の状態になったところで子宮内膜に着床します。このように、妊娠に備え厚くなった子宮内膜に着床するのが正常妊娠です。しかし受精卵が子宮以外に着床する異所性妊娠の可能性もあります。

また、異常妊娠では、高齢妊娠に多い胞状奇胎や多胎妊娠などがありますが、このような異常妊娠であっても妊娠検査薬では陽性になります。つまり陽性が正常妊娠とは限らないということです。

陽性が出るケース4:絨毛上皮腫などにかかっている場合

絨毛上皮腫など、絨毛細胞に腫瘍がある場合、妊娠に限らずhCGの値が上昇し妊娠検査薬で陽性になることがあります。また絨毛細胞に限らず卵巣癌、胃癌、膵癌などの他の細胞でもそれが腫瘍化するとhCGをつくりだすことがあります。

陽性が出るケース5:閉経期である

一般的に妊娠していない女性のhCG値は検出されない程微量ですが、女性は閉経期になると検出可能な値まで上昇することがあります。この場合も妊娠検査薬では陽性になります。しかし、閉経期や更年期の女性ホルモンの変化によるもので、妊娠により検出されるものではありません。

日本の閉経期の平均年齢は50歳前後と言われていますが、早い人では40代前後で閉経期を迎える人もおり、閉経期は個人差が激しいことが特徴です。

妊娠検査薬で正確な結果を得るためのポイント2つ

妊娠検査薬には様々な種類が販売されていますが、それぞれの取り扱い説明書をきちんと把握し、適切に使用することが重要です。妊娠検査薬は正しく使用できなければ、結果も信憑性が得られないものとなります。

妊娠検査約を正しく使用するためのポイントは、主に2つで、いつから使用できるかを知り、適切な時期に検査をすることと、妊娠検査薬の使用期限をきちんと確認することです。

適切な時期に検査をする

妊娠検査薬は妊娠により胎盤でつくられるhCGを検出するため、hCGの値が低い時期に検査をしても反応せず、妊娠していても陰性という結果になる場合があります。そのような誤りの結果を得ないために、適切な時期に検査をしましょう。

hCGの値は妊娠4週目頃から少しずつ上昇し、6週頃から急上昇します。つまり妊娠検査薬を試す適切な時期は生理予定日以降ということになります。生理予定日の1週間後を目安に検査すると良いでしょう。

妊娠検査薬の使用期限を確認する

当然ですが、妊娠検査薬にも使用期限があります。使用期限は外箱や、テストスティックの袋などに記載されているので、前に買った妊娠検査薬を使用する場合は、使用期限をきちんと確認しましょう。

期限が切れていても陽性の反応を示す場合がありますが、使用期限が切れた妊娠検査薬の検査結果はあまり信憑性がないため使用しない方がよいでしょう。

陽性が出て病院へ行くときの確認事項4つ

妊娠検査薬が陽性になったら、早めに受診する必要がありますが、受診には適切なタイミングがあります。規則的な生理周期なら妊娠周期も算出しやすく、おなかの赤ちゃんのだいたいの状況を把握できるため、おなかの中の赤ちゃんが確認できるタイミングで受診するとよいでしょう。

しかし、生理不順である場合、排卵日も予測が難しくなり確実な妊娠周期を把握できないことがあります。

陽性が出たときの確認事項1:生理予定日を1週間以上過ぎたタイミング

妊娠周期は生理予定日が4週0日となります。早期妊娠検査薬では陽性反応がでる時期です。しかし、まだおなかの中の小さすぎる赤ちゃんは見えないためエコーに映らないことがあります。

赤ちゃんは胎嚢という小さい袋に入っていますが、胎嚢がエコーで見える時期は妊娠5週目頃です。胎嚢が子宮の中に確認されれば異所性妊娠ではないと診断できます。

また、6週目頃心拍が確認できれば赤ちゃんが元気に育っていることになります。

生理が不規則な人は時期にこだわらなくても大丈夫

生理不順である場合、排卵時期の確定が難しく一般的な妊娠周期が当てはまらないこともあります。生理周期が28日より長い場合は排卵時期が遅いことが多く、最終月経からの妊娠週数は仮となり、実際は胎児の大きさで診断されます。

また、逆に排卵予定日よりも早く排卵している場合もあります。そのため、生理不順の人は自分自身で妊娠週数を算出することが難しいため陽性反応が出たら、時期にこだわらず受診するようにしましょう。

陽性が出たときの確認事項2:持ち物を事前にチェックしておく

初診で受診する時に最低限必要となる持ち物は、保険証とお金ですが、その他にも基礎体温表を付けている人は持参しましょう。排卵日がわかりやすく正しい妊娠週数も算出しやすくなります。

診察は内診台で行うため脱ぎ着のしやすい衣服でいくこと、また、ナプキンや替えの下着なども準備しておくと、どんな時でも対応しやすいでしょう。また、妊娠中は身体を冷やすことは避けたいため、待ち時間に飲める温かい飲み物やひざ掛けなども準備しておきましょう。

陽性が出たときの確認事項3:既往歴や家族歴などをまとめておく

自分や家族の病歴などがわかる既往歴や家族歴をまとめておくとよいでしょう。家族歴では遺伝性のある病気がチェックできます。また、既往歴では服用している薬などが赤ちゃんに影響しないかなどを確認できます。

持病や家族の遺伝性疾患も前もって医者に相談できることで、今後の妊娠時期や出産の備えに繋がるでしょう

陽性が出たときの確認事項4:前回の生理開始日や生理周期

基礎体温を記録している人は、妊娠周期や最終月経の開始日や排卵時期が特定しやすく妊娠周期を算出しやすくなります。基礎体温を記録すると、妊娠周期により体調の変化にも気づきやすくなるので、妊活中の人には特におすすめです。

基礎体温を記録していない人でも、カレンダーや手帳に毎月生理開始日だけでも記録しておくようにしましょう。排卵日が確定できなくても最終月経の日がわかればおおよその妊娠周期を算出できます。

陽性が出たのに生理が来た場合に考えられる2つのケース

妊娠検査薬陽性なのにもかかわらず、数日後に出血することがあります。妊娠中は生理がくることはないため、出血の原因に戸惑うこともあるでしょう。

ここではそんな時に考えられるケースを2つ紹介します。

流産を起こした可能性がある

出血量が、通常月経時の量だったり、大量である場合は妊娠初期に起こる化学流産の可能性があります。妊娠初期に起こるこうした流産は染色体異常によるもので、予防や治療が困難な流産です。

化学流産では、妊娠を意識していない人の場合、生理が遅れてきたのだろうという感覚のみで、妊娠したことに気づかない場合も少なくありません。治療は必要ないと言われている流産ですが、気になる症状があり不安な場合は早めに受診するようにしましょう。

生理以外の出血の可能性がある

出血が微量で妊娠超初期の時期なら着床出血の可能性があります。着床出血とは、受精卵が子宮内膜に取り込まれる時に起こる出血です。着床出血は、生理予定日頃に起こります。つまり、陽性反応後すぐに起こる出血です。

着床出血は、微量であることや、血液は薄い色、生理1日目によく出てくる塊のような血液でなくサラサラしていることが特徴です。また、出血する期間も1日から2日と短い期間です。

正しいタイミングで妊娠検査薬を使おう

妊娠検査薬は、妊娠を疑った時に手軽に試せる便利なツールです。しかし、検査のタイミングを間違うと結果の信憑性は低くなってしまいます。

実際は妊娠していても誤反応で陰性の結果がでてしまうと、受診のきっかけを逃し正常妊娠か否かも確認できないまま妊娠周期が経過してしまい、危険です。

そんな事態を防ぎ、母子共に安全な妊娠期間を過ごすためにも、妊娠検査薬は正しいタイミングで使用するようにしましょう。