妊娠症状

【専門家監修】授乳時にも現れる「悪露」の4つの出血状態|「悪露」とは?

産後出血の症状は現れやすい?

初めての出産を経験したママの中には、「悪露」と呼ばれる血液が混じったおりものに戸惑う人も多いのではないでしょうか。

産後に悪露が出る、つまり出血症状が現れることは自然なことです。しかし、出血の量が多かったり、レバーのような塊の血が出たりすると、本当に大丈夫なのか心配になるでしょう。

ここでは、悪露とはどういうものかを詳しくご紹介します。

「悪露」とは?

赤ちゃんが生まれたあと、妊娠によって変化していた母体が産前の状態に戻るまで、6~8週間かかると言われています。その期間を「産褥期(さんじょくき)」と言います。

「悪露(おろ)」とは、この産褥期に膣から排出される分泌液のことです。この分泌液には、血液やリンパ液、胎盤などの細胞組織、粘液などが混ざっています。

この悪露は、子宮が元に戻る過程でとても大切なものです。妊娠で大きくなっていた子宮を収縮させて、元の大きさに戻そうとする働きを「子宮復古」と言います。出産で胎盤などがはがれると出血しますが、この子宮収縮によって血管を圧迫し止血するのです。

そのため、悪露の量は日を追うごとに減っていきます。色も変わっていくので、これらを目安に子宮の回復度合いを知ることができます。

授乳時にも現れる「悪露」の4つの出血状態

悪露は分娩直後から始まります。産後数日で落ち着いてきますが、完全に終わるのは産後6週間頃であることが多いです。

分娩直後から始まる悪露ですが、同時に始まるのが赤ちゃんのお世話です。その中でも授乳は悪露とも関係が深いのです。

そこでここからは、授乳時にも現れる悪露の4つの出血状態をご紹介したいと思います。

「悪露」の出血状態1:産後2~4日ごろ

血液が多く赤色で、粘り気のある悪露が大量に出ることが特徴です。鉄のような血なまぐさいにおいがします。出産した日は一番量が多く、2日目以降は徐々に少なくなっていくことが多いです。

この時期は悪露の量が一番多く、普通の生理用ナプキンでは対処できないこともあるので、パッドの大きい産褥パッドを使いましょう。

産後の回復を早めるために、母体を休めることも必要です。慣れない育児で頑張ってしまいがちですが、悪露の量が増えたり、塊が出たりすることもあるので、無理をせず安静にしましょう。

「悪露」の出血状態2:産後4~14日ごろ

悪露に含まれる血液成分が減っていくので、色は赤みが薄れ、褐色になっていきます。

量は月経時ぐらいになるので、産褥パッドの小さいサイズか、生理用ナプキンを使うのがいいでしょう。

「悪露」の出血状態3:産後3~4週間ごろ

子宮内膜が再生し、出血はほとんどなくなります。そのため、悪露の色は黄色っぽい色になります。おりもののようになり量もかなり減るので、おりものシートを使用するのもいいです。

時々色が茶褐色に戻ることもありますが、問題ないでしょう。

「悪露」の出血状態4:産後5~6週間ごろ

この頃になると悪露の量はさらに減り、透明な分泌液が主になるので色は白色へと薄くなります。

ただし、悪露の終わる時期にはかなり個人差があるので、ある程度の目安としてお考えください。

授乳中に現れる「悪露」とは?

授乳によって子宮収縮を促すホルモンが分泌されるため、子宮の早期回復のためにも、早めに授乳をスタートさせることが望ましいです。

しかし、授乳をしているからといってすぐに悪露が治まるわけではありませんし、授乳による子宮収縮が起きる過程で一時的に出血が増えたりすることもあります。

時には悪化しているサインが出ていることもあるので、この状態の悪露は大丈夫なのか、という疑問にお答えしていきます。

授乳中に現れる「悪露」の疑問1:鮮血が出ても大丈夫?

産後すぐの場合は鮮血が出ることがあります。そこから日が経つにつれて出血はだんだん治まってくるので、一時的なものなら大丈夫でしょう。量も次第に減っていきます。

しかし、産後2週間を過ぎても鮮血が出るようなら、出産した病院で一度診てもらいましょう。その時腹痛や発熱などもないかチェックしておくことをおすすめします。

授乳中に現れる「悪露」の疑問2:生理用ナプキンで対応していい?

出産後数日間は、生理時と比べるとかなり出血量が増えます。そのため、生理用ナプキンでは吸収しきれずに漏れてしまうこともあるので、産褥パッドを使いましょう。

産褥パッドは生理用ナプキンよりも大きく、そして厚みがあります。大量の悪露が出たときもしっかりと吸収してくれるので、悪露の量が多い時期には産褥パッドの使用が好ましいでしょう。

授乳中に現れる「悪露」の疑問3:量が増えてきた場合は?

一般的に徐々に量は減っていく悪露ですが、一時的に量が増えることもあります。赤ちゃんのお世話や家事などで運動量が増えると腹圧がかかり、子宮内の悪露が一気に流れ出てくることがあります。

子宮の回復がうまくいっていない場合は止血がしづらいので、出血量が多くなってしまうこともあります。その場合は休息が効果的です。疲労を蓄積しないで、母体を休めましょう。

産後2週間以上経っても出血が減らず増えているようなら、一度出産した病院に相談することをおすすめします。あまり無理はせず、不安なことがある場合は病院に連絡してみましょう。

授乳中に現れる「悪露」の疑問4:塊が出た場合は?

悪露に小さく少ない塊が出てくるぐらいなら問題ありません。しかし、産後2週間経っても鮮血が出続けていたり、ピンポン玉ほどの大きな塊が出たりしたら、一度産院に連絡して受診してください。

子宮復古不全といって、子宮内に胎盤や卵膜の一部が残っていたり、子宮筋腫などの病気を患っていたりすることで起こる、子宮収縮がうまくいかない状態になっている可能性があります。治療が必要になるので、産後1か月健診前でも病院を受診しましょう。

授乳中に現れる「悪露」の疑問5:いつまで続くの?

悪露が完全に終わるのは個人差がありますが、産後6週間頃であることが多いです。その中でも鮮血が出るのは1週間ほどと言われています。

産後2週間経っても出血が減らない、悪臭がする、発熱がある、腹部が痛む、悪露が出ない、このような症状がある場合にはすぐに病院に連絡をして受診しましょう。

授乳中に現れるその他の症状3つ

産後すぐに授乳は始まりますが、その授乳中に現れる症状はいくつかあります。悪露だけでも大変ですが、対処法を知っておけば症状が軽くなり、赤ちゃんのお世話もしやすくなるでしょう。

では、授乳中に現れる症状は悪露の他にどんな症状があるか、対処法はあるのかなど詳しく解説していきます。

授乳中に現れるその他の症状1:眠気

出産でママの体には大きなダメージが与えられている状態です。そんな状態のなか、赤ちゃんのお世話はすぐに始まります。

昼夜問わず授乳をし、オムツを替え、抱っこして寝かしつけまでしなくてはなりません。ママは赤ちゃんに合わせて細切れにしか睡眠はとれず、寝たい時に寝られないという状態が続いてしまいます。

日々の寝不足と疲労が重なり、産後のホルモンバランスも崩れるため、異常な眠気が襲ってくることもあるでしょう。

そんな時は赤ちゃんと一緒に寝て、家事などは後回しにしたり家族に手伝ってもらったりしながら、十分な休息をとることが必要です。産後の母体は自分が思っている以上にボロボロなので、しっかり労わってあげてください。

授乳中に現れるその他の症状2:腰痛

産後は腰痛に悩まされる人も多く、原因はいくつかあります。妊娠中に腹筋は緩くなり、そのせいで腰に負担がかかって腰痛として現れてしまいます。

また、安静時にも腰痛が続くようなら子宮筋腫などの疾患が原因で、神経を圧迫している可能性があります。この場合は産院を受診した方がいいでしょう。

あとは、赤ちゃんのお世話で腰に負担をかけやすい体勢になることが考えられます。オムツ替えや授乳などは腰を少しかがめて行うことが多いのが原因です。

腰痛がある場合は、腹筋を鍛えたり、ストレッチやマッサージを行うのが手軽で効果的です。まずは何が原因かを判断し、産婦人科で子宮の状態が腰痛と関係がないかどうかを診てもらいましょう。その後、整形外科に行くことをおすすめします。

授乳中に現れるその他の症状3:吐き気

授乳中に起こる症状に吐き気もあります。原因は子宮の収縮に伴い胃腸が刺激される、貧血、頭痛、ストレス、産後うつなどさまざまです。

貧血の場合は、出産や悪露で出血していること、授乳をしていると母乳に鉄分がいってしまうことが原因に挙げられます。

貧血によって頭痛が起こり、ひどい場合は吐き気の症状が現れることもあります。貧血の対処法は、鉄分をできるだけ摂取すること、病院で貧血症状に効く鉄剤などを処方してもらうのがいいでしょう。

ストレスで吐き気が起こっている場合は、ママもリラックスできる時間を作ることが大切です。赤ちゃんのお世話や、出産の疲れ、睡眠不足もストレスになるので、家族に少し甘えてゆっくり休めるようにするのも一つの方法です。

頭痛や吐き気の他に、食欲不振や睡眠障害がある場合は産後うつの可能性もあります。一度出産した病院や心療内科に相談してみましょう。

授乳中における出血の原因を知ろう

産後の授乳中に起こる出血は悪露ということがわかりました。徐々に量が減っていき、色も薄くなっていくのが一般的ですが、長引くようなら病院に相談してください。

初めてのことばかりで戸惑うことも多いと思いますが、原因を知っておけば心配しすぎることもなくなるでしょう。

赤ちゃんのお世話が始まって大変な時期ですが、産後ママの体はダメージを負っていることを忘れず、産褥期はできるだけ安静に過ごしてください。