子育て

【専門家監修】初乳はどうして大切なのか?その理由と成分や効果についても解説

「赤ちゃんの授乳に初乳が大切って聞くけどどうして大切なの?」
「そもそも初乳って何?」
「初乳の分泌を良くする方法はあるの?」

妊娠中の方の中には、初乳についてさまざまな疑問や不安を抱いている方もいるのではないでしょうか。

本記事では、出産後すぐに分泌される初乳についてや、赤ちゃんに初乳が大切な理由、初乳の分泌を促す方法を紹介しているため、初乳の特徴やその後変化する移行乳、成乳の特徴も確認できるでしょう。

初乳についての理解を深めることで、赤ちゃんに初乳が必要な理由がわかります。また、知識が増えることでどうすれば初乳の分泌が良くなるのか、理解できるでしょう。

母乳育児に興味のある方や妊娠中で産後に母乳の分泌を良くしたいと考えている方は、ぜひ読んでみてください。

初乳とは?

初乳は、出産後3日から6日くらいの期間、生まれてすぐに出る母乳です。

非常に消化が良く、タンパク質が主で脂肪や炭水化物が少なく栄養価が高いのが特徴です。母乳とは、主なタンパク質の種類のホエイ、カゼインの割合が異なります。

初乳には、赤ちゃんの免疫力を高める抗体が多く含まれています。一方、母乳には、脂肪や糖質が多く含まれていて、成長に必要な栄養成分が多く入っています。

時期別の母乳の変化と特徴

出産後すぐに分泌される初乳は、徐々に移行乳、成乳へと変化していきます。それぞれの時期に合わせて変化する母乳は、栄養価や見た目の特徴も変わります。

ここでは時期別に見た母乳の変化とそれぞれの特徴について見ていきましょう。分泌される時期や見た目、成分について解説しますので、ぜひ参考にしてください。

出産直後に分泌される初乳

出産直後から産後3〜5日くらいまでに分泌される母乳のことを初乳といいます。

成乳に比べると分泌量が少ないことが特徴で、初乳は黄色みがかっており、粘り気のある濃厚な乳汁です。

初乳には免疫グロブリンが含まれているほか、タンパク質も多く含まれています。このような高い栄養価で、赤ちゃんの免疫力を上げてくれるのです。

また、初乳に含まれている塩類と脂肪は、赤ちゃんの腸を刺激する働きがあるため、赤ちゃんに初乳を与えることで、生まれて最初に出す胎便の排泄を促してくれます。

移行乳

移行乳は、初乳から成乳に変わる産後5〜14日間の間に分泌されます。

移行乳に変化すると粘り気が低くなり、黄色から白く濁ったような色味に変わります。初乳と比較すると分泌量も徐々に増えてくる時期でしょう。

免疫成分とタンパク質が初乳に比べると減ってしまいますが、その分糖分と脂質が増えてきます。

成乳

産後16日以降に分泌される母乳のことを、成乳といいます。

成乳はサラサラとした質感で、半透明で青みがかった白色が特徴です。初乳から移行乳、成乳へと変わることで、分泌量が増えて量も安定します。

成乳の成分は赤ちゃんの健康状態や成長スピードに合わせて変わり、エネルギー量が増えていきます。また、成乳の中の糖質が増えてくるため、母乳の味わいも甘く変化していくでしょう。

初乳が赤ちゃんにとって大事な理由

ここからは、感染症の予防、赤ちゃんの免疫機能を高めることをはじめ、初乳が赤ちゃんにとって必要な理由を5つ紹介します。

初乳が必要な理由について興味がある方はぜひ参考にしてください。

感染症の予防

赤ちゃんは、ウィルスや細菌に対抗できる免疫をほとんどもたない状態で生まれてきます。

初乳は特に免疫細胞や抗体が含まれていて、赤ちゃんをウィルスや細菌から守り感染症を予防できます。

空気中には、いろいろな種類の感染症の原因となるウィルスや細菌があり、母乳育ちの赤ちゃんの場合、感染症や消化器疾患に効果があることがわかってきています。

初乳を与えることは、赤ちゃんを守り、感染症を予防することにつながります。

免疫機能を高める

母乳には白血球が多く含まれていますが、特に初乳には、体内に入るとウィルスや細菌から守ってくれる抗体やさまざまな種類の免疫細胞が多く含まれています。

また、赤ちゃん自身の免疫機能を高めるサイトカインを分泌しています。母乳は血液と同じ成分で作られていて、血液中のたんぱく質と白血球だけ取り込まれて作られています。

赤ちゃんは自分自身の免疫機能も高めることができるので病気にかかりにくくなります。

黄疸の予防

赤血球が分解されたあとの物質であるビリルビンが増加すると、皮膚や粘膜にたまり黄疸になります。

赤ちゃんは、出生時、赤血球を多くもって生まれてきますが、消化官や肝臓が未熟なため、ビリルビンの処理がうまくいかず黄疸になりやすい面があります。

初乳には、赤ちゃんがうんちを頻繁に出せるように促す下剤のような働きがあり、子宮にいた頃の胎便を排出し、初乳の水分が血液を薄めてくれることで、ビリルビン量が下がり黄疸を防ぎます。

ビタミンが豊富

皮膚や免疫系の健全のためビタミンが必要ですが、初乳には、ビタミンが豊富に含まれています。

初乳に多く含まれているのは、ビタミンAやビタミンB1、B12 、C、パントテン酸、ビタミンEです。カロテノイドとビタミンAの含有量が高いため、初乳の色は黄白色になります。

ビタミンAは、赤ちゃんの視覚に影響があり、不足すると盲目の原因となります。出生時は、ビタミンAが少なく、初乳は、補う上でも大切な役割があります。

ミネラルが豊富

初乳には、ミネラルも豊富に含まれています。

ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リンが多く含まれていますが、微量ミネラルのうち、鉄、亜鉛、ルビジウム、銅は、母乳の中でも初乳に最も多く含まれています。

ミネラルの一種、マグネシウムは赤ちゃんの心臓や骨の発達を、亜鉛は赤ちゃんの免疫機能向上を助けます。

新生児は脳の発達が目覚ましく、亜鉛を多く必要としますが、初乳には成乳の4倍近く含まれています。

初乳分泌を促す方法

初乳は、妊娠中や産後からのケアで分泌を促すことができます。赤ちゃんの吸う量に合わせて母乳の分泌量が変わるため、初乳分泌を良くするようにケアしておくことで、今後の母乳育児も安心できるでしょう。

ここでは、初乳分泌を促す方法について2つ解説します。出産後、赤ちゃんに初乳を飲ませたい方はぜひ参考にしてください。

乳頭マッサージ

母乳は乳管を通って出ますが、乳管が詰まっていると母乳の出が悪く、赤ちゃんがスムーズにおっぱいを飲めなかったり、乳腺炎の原因になってしまったりします。

出産直後はおっぱいが張り、乳輪も固くなりがちなので、スムーズに授乳するために、乳頭部や乳輪部をマッサージすることで、スムーズに授乳できるようにします。

乳頭マッサージはホルモンの分泌を促進し、子宮に影響を与えるので、妊娠中に行う場合は、母体の状態を確認する必要があります。

赤ちゃんにたくさん吸ってもらう

乳腺を発達させ母乳を作るプロラクチンと、母乳を噴出させる働きがあるオキシトシンという2つのホルモンは、赤ちゃんにたくさん乳首を吸ってもらうことを刺激とし、母乳が多く分泌されるようになります。

母乳が出にくいと思っている人も、赤ちゃんに吸ってもらっていくうちに安定して授乳できるようになることがあります。

最初はうまくいかなくても、積極的に赤ちゃんに母乳を与え母乳を分泌するホルモンに働きかけましょう。

初乳を与えられなくても心配ないのか

持病により薬を服用していたり、産後すぐになかなか母乳が出なかったりなど、初乳を飲ませることができないケースもあります。

一番大切なことは、母乳を飲ませることができなくても気に病まず、赤ちゃんが健康であることと、お母さん自身が心身健康であることです。

特に初乳が出る時期は産後の入院中なので、医師や、看護師、助産師さんに相談し、母子ともに最善の方法を探りましょう。不安なことは一人で抱えず、周りの人に相談するようにしましょう。

赤ちゃんにとって大事な初乳を与えよう

初乳が大切な理由や、初乳をスムーズに出すための方法を紹介しましたがいかがでしたでしょうか。

初乳はできる限り与えてあげたいと考える方もいますが、母乳が出なくても栄養のバランスが整った授乳用ミルクがあるので、気に病むことはありません。

何よりも大切なのは、愛情をもって接することなので、赤ちゃんとのスキンシップの時間を楽しみましょう。