出産準備

【専門家監修】陣痛時に嘔吐するのはなぜ?陣痛時に嘔吐をしないための対策8つ

陣痛時に嘔吐するのはなぜ?

いよいよ出産の時が近づき陣痛を迎えると、それに伴って吐き気を感じたり、嘔吐をすることがあります。いったいなぜそのようなことが起こるのでしょうか。それは、陣痛によって引き起こされる体の変化が影響しています。

この記事では、陣痛に伴って起こる吐き気の原因と対処法について解説します。

陣痛時に嘔吐する要因5つ

臨月に入ると、前駆陣痛という分娩の準備に向けた子宮の収縮が起こり、妊婦さんの多くは腰痛、腹痛、吐き気などを感じるようになります。本格的な陣痛が始まる前にその兆候の一つとして吐き気を感じることがあります。

吐き気につながる主な要因は大きく分けて5つあり、食道括約筋の緩み、胃腸が圧迫されている、ホルモンバランスの乱れ、内臓機能の不調、不安からくるストレスです。

陣痛時に嘔吐する要因1:食道括約筋の緩み

妊娠によって、体内のホルモンバランスは大きく変化します。妊娠後期にはリラキシンと呼ばれるホルモンが、陣痛に備え骨盤近くの関節や靭帯を緩めたり頸部を柔らかくしてくれます。

同時に食道と胃の間にあり普段は閉じている食道括約筋も緩んでしまうことから、それが逆流の原因となり陣痛時の嘔吐を引き起こしてしまうことがあります。

陣痛時に嘔吐する要因2:胃腸が圧迫されているため

妊娠後期には赤ちゃんが大きく育ち、それに伴い羊水の量も増すことから、子宮がみぞおちあたりまで広がり胃や腸を圧迫してきます。

そのため、胃腸周辺が不快になったり、胃もたれや胸やけの状態となって陣痛時に嘔吐をしてしまうことがあります。

陣痛時に嘔吐する要因3:ホルモンバランスの乱れ

エストロゲンとプロゲステロンという2つの女性ホルモンは脳からの司令を受けて視床下部において分泌量の調整を行っています。

そして自律神経も同じく視床下部でコントロールされているため、ホルモンのバランスが乱れると自律神経のバランスも崩れてしまいます。

自律神経の乱れは、循環器や消化機能にも影響を及ぼし、胃のむかつきや便秘・下痢・食欲不振などの症状を引き起こし、嘔吐につながることがあります。

陣痛時に嘔吐する要因4:内蔵機能の不調

妊娠中は免疫力や消化器機能が低下し、胃腸の働きが弱くなり胃酸の分泌が減っていることから、消化不良を起こしやすくなります。

その影響で未消化のものが食道にまで上がってきてしまい、むかつきを感じてしまうことがあります。また、便秘になりやすく、腹部の膨張感による気持ち悪さから嘔吐をしてしまうこともあります。

陣痛時に嘔吐する要因5:不安からくるストレス

妊娠期間中は様々な感情の変化があるものです。子どもの誕生を楽しみに待つ気持ちでいっぱいになったかと思えば、次の瞬間には不安に押しつぶされそうになったりします。

自分の体の変化に戸惑ったり、無事に生まれてきてくれるか、生まれてからの生活に自信が持てない、夫の協力が得られるか、など不安は尽きることがありません。

気持ちの浮き沈みが激しくなったりすること自体もストレスとなり、嘔吐につながることがあります。

陣痛時に嘔吐をしないための対策8つ

陣痛の痛みに耐えながらの嘔吐は辛いものです。そのような時でもすぐに出来る対策がありますので早速試してみましょう。

一刻も早く楽になる方法や、あなたに合った方法がきっと見つかることでしょう。ぜひ取り入れてみてください。

陣痛時に嘔吐をしないための対策1:呼吸を整える

浅い呼吸ではなく深い呼吸をするようにしましょう。深呼吸の要領でゆっくりと鼻から息を吸い込み、お腹を大きく膨らませます。その後、口から静かに息を吐き出します。

こうすることで新鮮な酸素が体の隅々まで行きわたり、気持ちも落ち着くことから嘔吐が収まっていきます。少し息苦しいかもしれませんが、何度か繰り返すことで慣れてきますので試してみましょう。

陣痛時に嘔吐をしないための対策2:体の向きを変える

陣痛時は体を動かしにくいことから、つい同じ体勢で過ごすことが多くなりがちです。人の体の構造上、胃から腸へ食べ物をスムーズに流すために体の右側を下にした方が消化を助けることになります。

また、横になるときに頭を少し高くすると胃酸の逆流を防ぐことができ、座るときは背筋を伸ばして座ることで胃の圧迫が弱まります。

このように、時々体の向きを変えることで胃腸の負担が減り、吐き気を抑えることにつながります。

陣痛時に嘔吐をしないための対策3:リラックス出来る状態にする

静かな場所でリラックスすることで吐き気が緩和されます。

好みの香りを近くに置くことで気持ちが落ち着いたり、空気の入れ替えなど新鮮な酸素を取り込むことで気分が良くなり、陣痛時もリラックス出来るでしょう。

お気に入りのグッズを手元に用意しておくことや、パートナーや家族などとお喋りをする、体をさすってもらったりするという方法も、緊張がほぐれてさらにリラックス出来るためおすすめです。

陣痛時に嘔吐をしないための対策4:目を温めて全身の血行を良くする

目の周りを温めると、血行を改善することができます。蒸しタオルなどを上まぶたにのせて温めるのが効果的です。老廃物が流れ、肩こり・むくみなどの凝り固まった筋肉をほぐすことができ、全身に血液がスムーズに運ばれます。

自律神経の乱れなども調整されることから、体内のバランスが整い、心身がリラックスした状態になり嘔吐の症状を和らげていきます。

陣痛時に嘔吐をしないための対策5:消化しやすいものを食べる

陣痛時には食欲がわきにくいものですが、空腹がさらに気分を悪くすることもありますので食事はなるべく摂りましょう。うどんやバナナ、りんごのすりおろしなど消化の良いものをゆっくりとよく噛んで食べるようにしましょう。

温かいものの方が胃に負担がかかりませんが、冷たいものの方が吐き気を感じにくいこともありますので、体を冷やさないように少量なら摂っても良いでしょう。

陣痛時に嘔吐をしないための対策6:骨盤周りをほぐす

骨盤周りの血流を促すことで、赤ちゃんに必要な酸素が届きやすくなり、赤ちゃんが健やかに成長できます。無理のない範囲で、腰を反ったり丸めたりして「心地良い」と感じるくらいまで動かしましょう。

また血液の流れが良くなることでむくみがとれたり、体の凝りがとれ内臓がすっきりとし嘔吐が収まっていきます。

陣痛時に嘔吐をしないための対策7:我慢せずに嘔吐する

場合によっては吐くことを我慢する方がつらいかもしれません。どうにも収まらないときは、吐いてしまった方が楽になることもあります。

もし吐いてしまったらよくうがいをし、水分補給をしっかりとしましょう。

陣痛時に嘔吐をしないための対策8:マタニティヨガをする

マタニティヨガには、呼吸法やポーズなどで妊娠中に起こりがちな様々な体の症状を緩和してくれる効果があります。また、妊娠にまつわる不安や精神的なストレスの解消にも効果的です。

腸の動きを良くしたり、ストレッチによって筋肉の緊張をほぐしたり、不安を和らげリラックスさせてくれることで吐き気が収まっていきます。

陣痛時の嘔吐と同時に感じる症状5つ

陣痛時には嘔吐に加えて、さらに起こりやすい症状があります。悪寒、胃痛、頭痛、腹痛、発熱の5つです。なぜそれらの症状が起こりやすいのか、あらかじめ意識しておくことで、いざというときに慌てずに対応することが出来ます。

それでは、それぞれの症状について詳しく見ていきましょう。

陣痛時の嘔吐と同時に出る症状1:悪寒

妊娠時はホルモンバランスの変化により、体温調節機能が影響を受け通常より寒気を感じやすくなります。また、赤ちゃんへたくさんの栄養を送り込むため鉄分不足になり、酸素が運ばれにくくなること原因の一つです。

そして陣痛時は痛みから熱が上がったり、それに伴って悪寒がすることがあります。寒気を感じた時は体を温めましょう。温かいお湯に足を浸けたり、手のマッサージなどを行うと全身が温まり寒気が解消されるでしょう。

陣痛時の嘔吐と同時に出る症状2:胃痛

妊婦は胃や腸の働きの低下から、胃酸の過剰分泌を招き胃痛を引き起こしたり、逆流性食道炎や胸やけを発症しやすくなります。また、ストレスから神経性胃炎になる場合もあります。

食事を消化の良いものにしたり、少しずつ分けて摂ることで胃の負担を減らし、痛みを軽減することができます。さらに食後はすぐ横にならずに、起きていた方が消化を助けることになります。

陣痛時の嘔吐と同時に出る症状3:頭痛

妊娠時に起こる頭痛にはいくつか種類があります。緊張型頭痛はあまり動かないことやストレスから起こりやすく、温めることで良くなります。片頭痛は自律神経の乱れから起こりやすく、冷やすことで良くなります。

鉄欠乏症貧血によるめまいや頭痛は、酸欠から起こりやすく鉄分を補給すると良くなります。この場合、食品で摂るよりもサプリメントの方が効果が早く出ますが、医師の指示を受けるようにしてください。

陣痛時の嘔吐と同時に出る症状4:腹痛

臨月には女性ホルモンが増えたり、腸の圧迫などから下痢や便秘を繰り返したり、子宮が下がってきたことにより、恥骨や股関節が押されて痛み、腹痛を感じることがあります。

お腹が張ったり、下腹がチクチクする痛みは陣痛の一部である可能性が高いです。少しでも痛みを抑えるために、お腹を温めて安静にしたり、温かい飲み物を摂るようにしましょう。

陣痛時の嘔吐と同時に出る症状5:発熱

妊娠時はホルモンバランスの変化、基礎体温の変動が頻繁に起こり、また脱水症状や胃腸炎などの炎症から体温上昇が起こることがあります。

発熱によって汗をかき水分が失われるので、脱水症状に陥らないためにも十分な水分補給が必要です。

なんとなく体がだるかったり、のぼせているような状態のときは、解熱シートなどでおでこを冷やすと火照りが抑えられ少し楽になります。ただし、お腹を冷やすような貼り方はしてはいけません。

陣痛時の嘔吐を防ぐにはリラックス出来る環境を整えよう!

大切な赤ちゃんとの出会いをポジティブにイメージして気分を落ち着かせましょう。

好きな音楽を聴いたり、好きな香りを漂わせたりすることで気が紛れたり、ゆっくりと深い呼吸をして意識的に心と体がリラックス出来る環境を整えることで筋肉のこわばりが軽減され、次第に嘔吐が収まってきます。

待ち望んだ赤ちゃんとの明るい未来を想像して出産に臨みましょう。