子育て

【専門家監修】赤ちゃんに見られるモロー反射とは?対処法6つを解説

赤ちゃんのモロー反射とは?

モロー反射とは、生まれて間もない新生児期の赤ちゃんに起こる特異的な動きです。モロー反射は赤ちゃん特有の原始反射のひとつです。原始反射とは、赤ちゃんが成長していく過程で体を守るためのもので、胎児の時期から起こっています。

急に手足や体がびくっと動くのでけいれんかと不安になるかもしれませんが、発達に必要な反射で異常ではありません。ここからはモロー反射の動きと発生時期について解説していきますぜひ参考にしてみてください。

モロー反射の動き

モロー反射とは以下のような動きです。赤ちゃんの頭を正面に向けて、少し起こしたあと急に頭を下げるとびっくりしたように両手を広げ、指をすべて伸ばして開いた後、何かに抱き着くようにする左右対称の動作がモロー反射です。

モロー反射は外部の光や音、寝ている体勢の変化によって起きる原始反射の1つ。寝ているときなどに手や足がビクっとした動きになるのが特徴です。外部の危険から身を守り、運動機能発達のために欠かせません。

モロー反射が発生する時期

モロー反射は多少の個人差もありますが、生後すぐ、新生児のころから起こり、生後3~4ヵ月くらいから少なくなっていくといわれています。

首すわりが始まる生後3~4ヶ月ごろから少しずつモロー反射はなくなっていき、完全に消える時期は生後6ヶ月ごろが一般的です。発達とともに徐々に消失していくので、心配しすぎず見守っていきましょう。

モロー反射は昼間も夜間も起こるので、いつからいつまで続くのか心配なママは、最長でも半年弱と覚えておきましょう。

モロー反射以外にも!赤ちゃんにみられる原始反射とは?

原始反射は危険から身を守ろうと、運動機能を発達させるために見られる反射運動です。

自分の意志と関係なく無意識に起こる原始反射はモロー反射のほか、時期に応じてさまざまな原始反射が起こります。どの原始反射もモロー反射と同様に、成長とともにあらわれ、成長とともに消失します。

ここでは自動歩行・吸てつ反射・把握反射・バビンスキー反射の4種類について、確かめ方と特徴を解説していきます。

原始反射の種類1:自動歩行

赤ちゃんの両脇の下を支えて、足の裏を軽く床に触れるようにして体を前かがみにさせると、足を交互に動かして歩いているかのような動作をすることを自動歩行と言います。

自律歩行や原始歩行、足踏み反射とも呼ばれ、一般的に胎児期後期から生後1~2ヶ月頃までみられる反射といわれています。

実際に歩きだすのは1歳前後ですが、人間には生まれつき2本足で立って歩く能力が備わっている証拠だと言える原始反射です。

原始反射の種類2:吸てつ反射

母乳やミルクを飲むために、口で強く規則的に吸う反射を吸てつ反射と言います。

口角や頬など口のまわりに触れたものなら、何にでも吸いつこうとするのが特徴です。赤ちゃんが何でも口に入れようとするのはこの吸てつ反射が影響しています。

おっぱいや哺乳瓶、指やおしゃぶりを口元に近づけると自動的にくわえて、舌をリズミカルに動かして吸う動きをします。この原始反射が備わっているおかげで、出生後すぐにおっぱいに吸い付くことができるのです。

原始反射の種類3:把握反射

赤ちゃんの手のひらを指で触るとギュッと握りしめてきたり、足の裏を圧迫すると足指も含めて内側に曲がったりすることを把握反射(はあくはんしゃ)と言います。把握反射は、子猿が母猿にしがみつくために備わっていた反射の名残だとも言われています。

手の把握反射が消える時期は実際にものを握れるようになる生後4~6ヶ月ごろ、足の反射は3か月ころから弱くなり、9~12か月くらいになくなるといわれています。足の反射が消えると、足の裏を床につけられるようになります。

原始反射の種類4:バビンスキー反射

足の裏のかかとからつま先まで刺激すると、、足の親指が外側に曲がり、他の指は扇のような形に広がる反射をバビンスキー反射といいます。

さらに強い刺激を与えると、それを避けようとする逃避反射とともにバビンスキー反射が起こります。

脳性麻痺の早期発見、早期療育につながるチェックとしても行われており、生後6ヶ月ごろから消失し、2歳以上になると全部の指を内側に曲げるようになります。

モロー反射を起こす赤ちゃんの対処法6つ

赤ちゃんのモロー反射は心配なケースは少なく、ママが抱っこから降ろそうとするだけでモロー反射が起きて泣き、逆に全然寝ないという悩みも良く聞かれます。

かわいい赤ちゃんならではのモロー反射だとわかっていても、頻度が高すぎたり、睡眠中の強すぎる泣きで寝れない日が続くのはかわいそうですね。ママの笑顔まで消えてしまっては大変です。

モロー反射を起こす赤ちゃんの対処法を原因別に6つ、解説しますので参考にしてみてください。

モロー反射の対処法1:頻度が高い場合

モロー反射が一日に数回起こるのは一般的ですが、5分おきにモロー反射が起きて寝れない状態になっているとしたら、それは回数多い状態と言えます。

赤ちゃんが寝入りベッドに置いても、背中スイッチが付いてるかのようにビクっとなって急に泣いて起きる場合、急に頭が下がってしまうなど、モロー反射が起こりやすい姿勢になっていないかをチェックしましょう。沐浴の際も頭の位置に注意です。

大泣きしてしまったあとは、ママやパパに密着させて抱っこしてあげましょう。

モロー反射の対処法2:泣きわめく場合

モロー反射があり、突然夜泣きのように急に激しく泣きわめく場合もあります。

モロー反射で泣きわめく場合、赤ちゃんにとって刺激になるものが周囲にあるのが原因です。大きな音をなるべく立てない、暑い寒いが極端にならないよう室温を保つなど環境を整えれば簡単に改善される場合もあります赤ちゃんが安心できるよう添い寝などで様子を見ながら対応しましょう。

モロー反射の対処法3:眠れない場合

入眠時や夜間に赤ちゃんのモロー反射が起きると、その動きでビックリびっくりして目を覚まし、何度も繰り返すため眠れない場合があります。

モロー反射は無意識に起きる反射ですが、その原因となる手足の動きを、おくるみでくるむことによって抑えることができるので安心した睡眠につなげることができます。

おくるみでくるむときは、赤ちゃんの生理的姿勢を保つことが大切です。姿勢の保ち方は助産師に相談してみましょう。

モロー反射の対処法4:連続的に起きる場合

一度モロー反射が起きると、反射で生じた自分の動きに驚き、その衝撃で激しく泣くなど、モロー反射が連続して起きる場合があります。

音や光、温度で刺激を与えない対策をし、安心させることが大切ですが、小さな音やくしゃみ、咳の音で泣き出すこともありますので過敏になりすぎないようにしましょう。

赤ちゃんを寝かせる布団や服も冷たすぎず暑すぎないように保ち、ママの体温に近い状態にしておくと抱っこされているかのようでモロー反射予防につながるでしょう。

モロー反射の対処法5:モロー反射が起こらない場合

モロー反射は多くの赤ちゃんに見られますが、モロー反射が起こらない、あまりしない赤ちゃんもいます。

モロー反射が起こらない原因に、中枢神経の異常、核黄疸や髄性筋委縮症(werdnig-hoffmann病)、聴覚障害で音が聞こえてないなどがあります。

発達障害の疑いがある場合などは、発達遊びエクササイズなどを行う事で、統合・適応させていくこともできます。気になることがあれば小児科医に相談しましょう。

モロー反射の対処法6:消失時期を過ぎている場合

一般的に生後4~6ヵ月はモロー反射の消失時期と言われていますが、この時期を過ぎてもモロー反射がなくならないず残っている場合もあります。

モロー反射が消えない状態は、先天的もしくは後天的な要因で脳に異常の可能性もあります。発達障害が心配になった場合は、モロー反射の状況を日頃からよく観察しておき、記録などに残しておいてください。

モロー反射が起こった状況・強度・頻度などが記録してあれば、診察時に医師に伝えるようにしましょう。

モロー反射と間違えやすい点頭てんかんとは

モロー反射と間違えやすいものとして点頭てんかんがあります。

点頭てんかんはウエスト症候群とも呼ばれる小児難治てんかんの1つです。その大半が1歳未満に発症し、中でも生後4~7ヶ月の赤ちゃんに多く見られる疾患です。低月齢にみられることが多いため、症状をモロー反射と勘違いしてしまう可能性があります。

出生数1000に対して0.16~0.42と発症率は高くないため心配する必要はありませんが、心配な場合は小児科医に相談するとよいでしょう。気になる場合には早めに相談、検査をするようにしましょう。

モロー反射と点頭てんかんの違い

点頭てんかんは一般的なてんかんと違い、一見変なクセのように見えてしまうため発見が遅れることがあります。

目を覚ました直後や眠いときに突然、頭部がよくカクンとなる、うなずくようなしぐさをする
、何度もバンザイをするような動きをするなどの発作が数秒続きます。

モロー反射は赤ちゃんに大きな刺激が与えられて起こる反射運動ですが、点頭てんかんは刺激のない環境や静かな時でも一定の間隔でおきたり、日に何度も発作が起こる病気です。

モロー反射の特徴を知り適切に対処してあげよう

モロー反射は生まれて間もない新生児から3~4ヶ月までの赤ちゃんに見られる、危険から身を守るための原始反射行動であり、脳の発達と深い関係があります。

赤ちゃんにはモロー反射以外にも複数の原始反射があり、そのすべてが成長発達と深い関りがあります。原始反射は時期がくると消失します。心配しすぎず様子をみながら成長を見守っていきましょう。