妊娠症状

【専門家監修】妊娠初期症状と生理前症状の違い5つ|受診の目安とは?

そもそも生理とは

生理とは妊娠に備えて厚くなった子宮内膜が、妊娠しなかったことで不要になり剥がれて体外に排出されることです。

生理は、女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体化ホルモン)という2つのホルモンが作用してます。生理期間が終了すると、卵胞期に入りエストロゲンが増加しその後排卵が起こります。

排卵後に黄体期に入ると、プロゲステロンが増加し、子宮内膜を厚くするなど妊娠に備えます。

月経の仕組み3つ

医学用語では生理のことを「月経」といいます。月経は規則的な仕組みが備わっており、その仕組みを理解しておくことで自身の体調の変化にも柔軟に対応できるようになるでしょう。

ここでは、月経での基本的な生理周期、排卵日、基礎体温の仕組みについて紹介します。

月経の仕組み1:生理周期

生理周期とは、月経が始まった日から、次の月経が始める日までの期間を指します。生理周期は数日前後したり個人差もありますが、正常であれば約4週間です。

しかし、疲れていたり、ストレスが溜まっていたりすると女性ホルモンのバランスが崩れて生理周期が乱れてしまうこともあります。不規則な生理は、生活や仕事に支障をきたすこともあり悩みの種になっているという女性も少なくないでしょう。

月経の仕組み2:排卵日

排卵日は、次の生理の14日前といわれています。通常であれば生理周期は28日ですので、排卵日は周期の中間あたりの時期ということになります。しかし、周期が乱れがちな人は確実な排卵日を予測することは難しいでしょう。

正常に排卵を起こすためには、卵胞ホルモンや黄体形成ホルモンが正常に分泌されている必要があり、これらの女性ホルモンの働きにより卵胞が発育し排卵を起こします。

月経の仕組み3:基礎体温

基礎体温とは何も活動していない安静時の体温ことです。そのため、基礎体温は朝目覚めてすぐ、起き上がる前に測定します。

排卵が正常に起きるている場合、基礎体温は低温期と高温期があります。月経が始まり排卵が起こるまでの時期が低温期で、排卵後から次の月経が始まるまでが高温期です。

排卵が起こると黄体ホルモンの影響で体温があがり、妊娠に適した状態を維持します。この頃から妊娠初期症状が現れる人も多いでしょう。

妊娠初期症状とは

妊娠15週までの時期を妊娠初期といいます。妊娠周期は妊娠する前の最終月経の初日から数えるので妊娠0週0日が月経初日、妊娠2週0日が排卵日、妊娠4週0日が妊娠成立となるでしょう。

妊娠が成立する前に妊娠の兆候が稀にありますが、妊娠初期症状が現れるのは妊娠5週目ごろから吐き気などを感じる「つわり」がスタートする場合が多いでしょう。他には眠気やだるさなど風邪に似た症状が現れることもあります。

妊娠初期症状と生理前症状の違い5つ

生理前になると胸が張って痛い、眠くなる、イライラして怒りっぽくなるなどの症状を経験する人も多いでしょう。実は、これらの生理前の症状は妊娠初期にも表れる症状なのです。

つまり、その症状だけでは妊娠しているかどうか判断が難しく、それが妊娠初期症状ではない場合もあります。

ここからは、妊娠初期の症状と生理前症状の違いについて5つ紹介します。妊娠を意識したら、その判断材料の参考にしてみるとよいでしょう。

妊娠初期と生理前の違い1:生理が来ない

正常な周期で月経がある場合、予定日になっても生理が来ないなら妊娠を疑ってもよいでしょう。

月経は妊娠のために備えていた状態が不必要となった時に起こります。つまり、妊娠が成立した場合、その状態は維持され生理は来ないということになり、生理予定日を過ぎても症状が続けばそれは妊娠初期症状の可能性もあります。

生理不順の場合は予定日が確定されず見極めが難しいため基礎体温を意識してみるようにしましょう。

妊娠初期と生理前の違い2:胸が張る

妊娠初期症状や生理前症状は女性ホルモンの影響で胸が張ります。妊娠している場合、黄体ホルモンの影響だけでなく、脂肪組織や乳腺が増え始めるため胸が張るだけでなく大きくなったと感じることがあります。

一方、生理前の胸の張りは、黄体ホルモンの影響により、血流が増加することで乳腺組織が活発化して胸が張っているように感じます。

どちらも同じような症状で分かりにくいですが妊娠していなければその違いは、遅れて生理がくることです。

妊娠初期と生理前の違い3:眠気を感じやすくなる

生理が始まると妊娠に備えていた女性ホルモンは減少しますが、妊娠すると、妊娠を継続させるために女性ホルモンは分泌され続け、その影響で体は眠気やだるさを感じやすくなるでしょう。

生理前も妊娠中と同じように黄体ホルモンの分泌が増える時期で、妊娠した時と同じような症状を感じることがあります。

生理前症状と妊娠初期症状との違いは月経予定日に女性ホルモンの分泌が抑えられそれらの症状は自然に解消されるということです。

妊娠初期と生理前の違い4:風邪をひいたようなだるさ

妊娠初期症状では体温が高温を維持するため、常に熱っぽさを感じるようになり風邪をひいたようなだるさが続きます。妊娠していればその症状は継続し、数日間微熱が続くという違いがあります。

生理前も高温期の時期があるため、熱っぽさやだるさといった症状が現れることがありますが、妊娠していなければ、生理が始まると同時に低温期に入るためそれらの症状も解消されるという違いがあります。

妊娠初期と生理前の違い5:胃の不快感・腸内環境

生理前症状や妊娠初期症状では、増加する女性ホルモンが胃腸の働きにも影響を与えるため、妊娠初期症状としてはおならがとまらなくなったり、胃がムカムカしたり不快な症状が現れることもあります。

それらが影響し下痢や吐き気を感じることもありますが、生理前に起こる下痢や吐き気は月経前症候群の可能性があります。

妊娠初期に起きる吐き気は「つわり」で、月経前症候群との違いは妊娠5週目以降に症状がでることが多いでしょう。

妊娠初期症状と生理前のおりものの違い3つ

妊娠初期や生理前はおりものも増えてきます。妊娠初期症状でのおりものは、いつものおりものと量や状態が違ってきますが、それらの違いは、かならずしも妊娠が原因とは限りません。

感染症やなんらかの病気が隠れている場合もあるので、妊娠が原因のおりものであれ問題はありませんが、悪臭がするなど明らかにいつものおりものと違いを感じたら早めに受診するようにしましょう。

妊娠初期と生理前のおりものの違い1:着床出血

妊娠している場合、生理予定日頃に稀に微量出血する時があります。これは着床出血といい受精卵が子宮に着床するときに起こる出血です。

着床出血が混じったおりものは、ピンク色や茶色になっています。しかし、必ずしも着床出血が混じったおりものだと判断はできないため、いつものおりものと違いを感じて不安がある場合は早めに受診するようにしましょう。

妊娠初期と生理前のおりものの違い2:感染症

黄緑色の濃いおりもの、カッテージチーズや酒粕っぽいおりもの、臭いがきついなど明らかに、いつもと違いを感じるおりものには注意が必要です。

それらは感染症などの可能性があります。体調に異変を感じるケースは少ないものの、場合によっては腹痛やかゆみ、体調不良を起こすこともあります。そんな時は自己判断せずに早めに受診するようにしましょう。

妊娠初期と生理前のおりものの違い3:その他の病気

生理期間以外の出血は不正性器出血といい、なんらかの病気が疑われます。子宮頸がんやポリープなど、女性ホルモンの影響や細菌が原因になることもありますが、疲れや体力が落ちた時に発症することもあります。

病気の種類によっては放置し進行してしまうと生命に危険が及ぶ可能性もありますので、生理以外の大量の内部出血があった場合はすぐに受診することをおすすめします。

妊娠検査薬と受診をするときの目安とは?

妊娠しているかもしれないと意識したら、まず試したいのが妊娠検査薬です。妊娠検査薬は正しく使用すればその精度は99%以上といわれています。

妊娠検査薬で陽性を確認した後は産婦人科を受診しますが、受診するタイミングも早めがいいのか、確実に赤ちゃんを認識できるまでまった方がいいのか迷うこともあるでしょう。

妊娠検査薬で陽性反応が出た後、受診するタイミングや受診時に必要なことをおさえておきましょう。

妊娠検査薬

妊娠すると尿中に「hCG」という物質が排出されるため、妊娠検査薬ではhCGを検出できるかどうかで妊娠を判定します。

hCGが検査薬にきちんと反応する量が分泌されるのは妊娠5週目を過ぎたあたりといわれています。そのため、妊娠検査薬を使用するタイミングは、生理予定日から1週間後が目安になります。

どうしてももっと早く結果が知りたい、という場合は通常の検査薬よりもhCGの感度が高い早期妊娠検査薬の使用をおすすめします。

産婦人科

妊娠検査薬で陽性反応を確認したら、できるだけ早めの受診をおすすめします。妊娠6週目に入ると個人差の違いはありますが、すでに赤ちゃんの心拍がわかるようになります。それに伴って正常な妊娠かどうかも判断できるでしょう。

妊娠がわかったら、正常妊娠なのかどうか確認するためにも6週目頃までには受診しましょう。

必要なもの

産婦人科を受診する時は、お金や健康保険証はもちろんのこと、基礎体温を記録していたという人は、基礎体温表もあるとよいでしょう。

また、親族のこれまでの病歴などをまとめた家族歴や、既往歴をまとめておくと今後の妊娠、出産に向けての安心材料になるでしょう。

服装に気を付ける

産婦人科の診察では内診があります。下着や靴を脱いで受診するため、脱ぎ着しやすい服装を意識していきましょう。特にパンツスタイルで上下繋がっている服は要注意です。全部脱がなければ診察できない場合があります。

スカートを着用していけば、下着を脱ぐだけで済みます。靴も当日はブーツなどを避けて脱ぎやすい靴を履いていくようにしましょう。

妊娠初期症状の注意点

妊娠4週目から胎盤の形成が完了する妊娠15週目が妊娠初期の期間といわれています。妊娠初期はつわりの症状に苦しむ妊婦さんも多く、栄養管理が困難になりがちですが、赤ちゃんの健康に影響するものは控えるようにしましょう。

妊娠初期は赤ちゃんの身体や脳の神経細胞などが形成される大事な時期です。赤ちゃんの発育や知能に影響することがあるため、特に妊娠初期はアルコールやカフェインの摂取は控えるようにしましょう。

妊娠初期症状と生理前症状の違いを知ろう

基礎体温を記録していれば排卵の判断は付きやすいですが、妊娠を意識していなければ妊娠初期症状は毎月経験している生理前の症状と似ているため違いに気づかず、生理の前兆と捉えてしまいがちです。

まずは自分の生理周期をきちんと知ることがポイントです。生理周期を管理するアプリなどを活用してみるのもおすすめです。日頃から自分の身体に目を向けて、小さな変化も逃さず妊娠初期症状を感じられるようにしておきましょう。