妊娠症状

【専門家監修】着床出血の特徴5つ|おもな不正出血3つや生理との違い

着床出血とは

着床出血とは、妊娠約妊娠3週半~4週頃に起こる少量の出血のことです。

生理予定日や生理前に起きやすいため生理と勘違いすることも多いですが、そのメカニズムは生理とはまったく異なるものです。

着床出血がおこる仕組み

そもそも、着床出血とはどのようにして起きるものなのでしょうか。

着床出血は、受精卵が子宮粘膜に着床する際におきるものです。受精卵が子宮内にたどり着くと、受精卵は子宮内膜へもぐり込み胎芽を形成します。この受精卵が子宮内膜へもぐり込む時に、子宮内膜の血管を壊すことによって出血することを、着床出血といいます。

一方で生理は、不要となった子宮内膜が剝がれ落ちたり、子宮内膜内に蓄えられていた血液が体外へ排出されることを指します。

生理や不正出血と着床出血の見分け方

生理や不正出血、着床出血の違いは、パッと見てどれに該当するか判断するのは困難と言われています。しかし、実際に出血が起きた際、自分でもどの出血に該当するのか見当をつけることは可能です。

一番大きく異なるのは、出血量の違いです。着床出血は他の出血とは異なり、起こらない人もいるくらいのごく僅かな出血量しかありません。一方で生理は子宮内膜が剥がれ落ちることもあり、個人差こそありますがそれなりの出血量があります。

次に異なるのは、血液の色です。着床出血の場合、少量であることと血管を壊されたことによる出血であることから、鮮血色か薄い赤色をしていることが多いです。一方で経血は子宮内で不要になったものも排出されるため、鮮血色であったり、赤褐色をしている場合があります。

さらに重要なのが出血の起こったタイミングです。生理周期から外れた時期に発生する出血は不正出血である可能性が高く、生理周期前の出血は排卵性出血や着床出血の可能性があります。

生理や不正出血、着床出血を見分けるためにも、常日頃から生理周期は記録しておくようにしましょう。

着床出血の特徴5つ

ここまで、着床出血と生理と不正出血の違いについて挙げてきましたが、そもそも着床出血にはどのような特徴があるのでしょうか。

ここからは着床出血の特徴について5つ、挙げていきます。「もしかして着床出血かな」と思った際の判断をする参考にしてみてください。

着床出血の特徴1:着床出血がある人は少ない

実のところ、着床出血がある人は少なく、全体の8~25%程度と言われています。また、着床出血であることに気づかず、生理前のおりものに早めに経血が混じってしまった、程度に思う方も多いようです。

着床出血がある人の中の割合は、経産婦が多いと言われています。

着床出血の特徴2:生理予定日前に起こりやすい

着床出血は受精卵が子宮内膜に着床することで起こります。そのため、子宮内膜が十分に育っている状態の時に起こりやすいでしょう。

子宮内膜が十分に育っている状態ということは、受精卵が着床しなければ生理が起こるわけですので、生理予定日前に起こりやすいと言えるでしょう。ただ、着床出血の場合は生理とは異なり、一時的に少量の血液が排出されるだけにすぎません。

出血量は少ない

子宮内膜や不要物が剝がれ落ちて排出される生理とは異なり、内膜の血管が壊れることによって起こる出血なので、出血量は少ないです。

出血が続くとしても3日以内程度といわれています。

着床出血の特徴4:色は鮮血や茶色の場合も

着床出血の色は生理の時とあまり変わらず、鮮血色やおりものに混ざって排出されることもあるためピンク色をしていた、という方もいるようです。出血から時間が経っていると茶色くなる場合もあります。

ただ、あまりにも黒に近い茶色であったりした場合は、不正出血の可能性がありますので、産婦人科で相談してみるのもよいでしょう。

着床出血の特徴5:体調の変化があることも

着床出血が起こると妊娠維持のためのホルモン、エストロゲンとプロゲステロンが過剰に放出されることになります。これにより、だるさを感じたり、気持ち悪さを感じたり、頻繁にあくびが出たりすることがあります。

また、着床出血の受精卵が子宮内膜にもぐり込む時のピリピリとした腹痛を感じたり、ホルモンの影響で体温が上昇したりするといわれています。

着床出血と間違えやすい不正出血の種類3つ

着床出血と間違えやすいものに、生理の他に不正出血があります。不正出血は病気のサインの可能性があります。

ここからは、着床出血と間違えやすい不正出血を3つ紹介していきます。当てはまるものがあれば、自己判断はせず、一度病院で受診することをおすすめします。

着床出血ではない不正出血:器質性出血

器質性出血とは、炎症や外傷、腫瘍や妊娠など、出血性素因によって発生する出血のことを指します。

他の不正出血と比べて要因の幅が広いため頻度が高く、着床出血も妊娠性に起因する出血となり器質性出血に該当します。ですが、出血の量が多かったり出血が長く場合は、着床出血以外の不正出血が考えられます。

特に放置すると貧血などにつながったり、悪性疾患が潜んでいる可能性もあるので、違和感を感じたら早めに病院でみてもらうようにしましょう。

着床出血ではない不正出血:機能性出血

機能性出血とは、上記の器質性出血と生理以外の要因で起こる出血のことです。

傷などから直接出血するわけではなく、主にホルモン分泌の異常によって子宮内膜が維持できず、生理以外の時に子宮内膜が剝がれ落ちてしまうことで起こります。生理周期以外の出血は、この機能性出血の可能性があります。

着床出血ではない不正出血:排卵期出血

排卵期出血は厳密には不正出血とは異なり、毎周期排卵期の同じ時期に起きる出血のことを指します。

排卵期の急激なエストロゲンの分泌量変化により、一部の子宮内膜が剥がれ落ちるために起きるもので、生理予定日の2週間前ほどに発生します。

ただ、他の不正出血と見分けるのが難しいため、排卵期出血かどうかを見分けるには生理周期をしっかり把握しておくといいでしょう。また、少しでも違和感を感じたら放置せず、病院にかかることをおすすめします。

流産の可能性も考えられる

着床出血以外の出血は、不正出血や生理だけとは一概には断言できません。残念ながら、妊娠していても流産になってしまったことで、出血が発生する場合もあります。

流産は主に2つに分けられます。

切迫流産

切迫流産とは、厳密には流産になってしまった状態ではなく、流産になる可能性が極めて高い状態のことを指します。切迫流産という診断が出された場合でも、妊娠の継続の可能性はあります。

ただし妊娠12週までの切迫流産には有効な薬剤がまだ存在していないと言われており、妊娠初期の流産を防ぐ方法はなく、できる限りの安静が唯一の対処法といわれています。

化学流産

化学流産とは着床はしたものの、そこから先何らかの原因で受精卵が育たず、妊娠には至らなかった場合のことを指します。

妊娠検査薬では確かに妊娠だったのに、と思う方もいらっしゃるかと思いますが、着床した時点ではまだ受精卵は生きており、そこから先の胎のうが上手く育たないことが原因だと言われています。

またこの場合、生理のような出血が生じます。

着床出血があった時は病院へ

着床出血にしろ、他の不正出血にしろ、生理のタイミングからずれた出血が起きた場合は、放置せずにすぐに病院へ行きましょう。

着床出血であれば、それは妊娠している可能性がありますし、着床出血ではなければ他の疾患が見つかったり、切迫流産の状態である場合もあります。何事も早期発見に越したことはありませんので、出血があったら病院へ行くようにしましょう。

着床出血を知ろう

着床出血を知ると、他の不正出血や、常日頃から共にある生理、その生理周期がいかに重要かということが理解していただけたかと思います。

これから妊娠を考えている方、またその妊婦さんを支えてあげるためにも、着床出血について、意識を深めておくことが重要です。

また、出血の様子に少しでも違和感を感じたら、すぐ病院に行くようにしましょう。