妊娠症状

【専門家監修】妊娠32週に起こりやすいトラブル9選|出産前にしておきたいこと

妊娠32週とはどんな時期?

妊娠32週(妊娠9ヶ月)は、妊娠後期にあたります。妊娠後期とは妊娠28週以降です。

胎児の呼吸機能が成熟し、母母体のお腹はますます大きくなる時期です。妊娠36週前後に妊婦健診で行われるノンストレステスト(NST)でも確認していきますが、元気であれば胎動でその活発さを体感することができます。

母体の状態

妊娠32週はお腹が大きくなり、引き続き体重コントロールに注意しなくてはならない時期でもあります。この頃は切迫早産のリスクが高まるため、お腹の張りが増えることで安静を指示されることも多くなります。また、産休に入ることで活動量が張ったり、里帰り後に家族にたくさん食べるように言われるなど様々です。

理想的な体重の増え方は妊娠前の体重にもよりますが、一般的な体型なら週0.3〜0.5kgの増加が理想的とされます。増え過ぎは産道に影響を与えるため、1週間に0.5kg以上増える場合は注意が必要です。

胎児の状態

妊娠32週を迎えると羊水量はピーク(800mlml)に達し、胎児には肺が形成されて呼吸機能が成熟します。羊水は、お腹の外からの圧迫などから胎児を守る役割があり、羊水に含まれる成長因子は人体機能の成熟を助力します。

胎児はこの羊水を飲んで自身の肺や腸で吸収し、誕生後の呼吸や栄養吸収の機能を整えます。妊娠32週0日の胎児の大きさ平均は、体重1800g前後。羊水量のピークは妊娠36週まで継続し、以降徐々に減っていきます。

妊娠32週ごろに起こりやすいトラブル9選

妊娠32週は胎児に呼吸機能が成熟するなど出産に向けての児の成長が著しい時期ですが、お腹が大きくなる影響で母体にはトラブルが起こりやすくなります。

過度な不安や心配を防ぐため、また対処法を考えるために、妊娠32週で起きやすいトラブルを把握しておきましょう。

妊娠32週のトラブル1:足のトラブル

妊娠32週で起こりやすい足のトラブルには、むくみや静脈瘤などがあります。これらの症状は妊娠中を通して現れやすいのですがお腹が大きくなることに伴い、下大静脈という体のなかで最も大きな静脈のながれが滞りやすくなることにより悪化しやすいと言われています。

静脈瘤は皮膚表面に血管が膨れ上がる症状で、程度には個人差があります。むくみが多少あっても、血圧の上昇や妊婦健診で尿蛋白を指摘されていなければ特に問題はありません。体を冷やさないように気を付けたり、着圧ソックスを使用するなどしてみましょう。むくみが全身におよび、体調が優れない場合には産婦人科に相談しましょう。

妊娠32週のトラブル2:動悸・息切れ

妊娠すると約40〜50%ほど循環血液量が増加するため、全身に血液を送り出す心臓に負担がかかります。

その影響で、動機や息切れを感じやすくなると言われています。また、貧血になっていることが影響している場合もあります。

妊娠32週のトラブル3:腰痛

お腹を支えるために腰を後方へ反る姿勢になるため、腰に負担がかかり腰痛を引き起こすケースは多いです。妊娠していなくても長時間反る動作は腰に負担がかかるため、基本的に腰痛に繋がる姿勢と考えられています。

また、出産にむけて骨盤を緩ませるためのリラキシンというホルモンの作用で、腰や足の付け根や恥骨に痛みが出ることがあります。お尻や太ももの裏側が痛くなる場合(坐骨神経痛)も、骨盤のゆるみの影響で坐骨神経を圧迫している可能性があります。

妊娠32週のトラブル4:貧血

妊娠すると循環血液量は増加しますが、赤血球の数はそれほど増加しません。その結果、血液濃度が薄くなり、貧血症状が出やすくなります。そのため、軽い貧血は妊娠中の正常な生理現象なので心配はいりません。

動悸・息切れ・たちくらみなどが併発している場合は、それが貧血によるものかどうか医師に診てもらいましょう。対処が必要かどうか医師が判断しますが、貧血によい食事を摂取するなど日常生活で工夫するのもよいでしょう。

妊娠32週のトラブル5:不安からくる不眠症

妊娠32週から始まる妊娠後期で不眠症になる理由は、出産に対する心理的な不安です。無事に産むことができるかなど、母だからこそ強く感じる心理状態が不眠症を引き起こすと考えられています。

出産については多くの妊婦さんが不安になることですので、生活の中で落ち着きやリラックスを得るための工夫をしてみましょう。

また、健診の際に不安な気持ちを助産師に相談してみましょう。具体的にどのようなことに不安を感じているのかを掘り下げることで、対処の方法を考えることができるかもしれません。

妊娠32週のトラブル6:胸やけ

妊娠後期になると大きくなった子宮がみぞおち辺りまで上がってくるため、それに伴い胃が圧迫されて胸やけ・吐き気・げっぷなど症状を引き起こすことがあります。

圧迫とその影響に伴う症状により、1回の食事量が減少する傾向もみられます。ただし、個人差があるため、この症状は現れる方もいれば現れない方もいます。

妊娠32週のトラブル7:おりものが変化する

妊娠後期になると、粘り気のある白いおりものが増加します。出血を伴う場合は切迫早産の可能性があり、かゆみが伴う場合は治療することで楽になります。産婦人科に相談しましょう。

破水が起きた場合は少し生臭いにおいで、おりものや子宮の圧迫に伴う尿もれと判別しにくいものです。いずれの場合であっても、分泌物が増加した時には医師に診てもらうことをおすすめします。

妊娠32週のトラブル8:ももの付け根が痛くなる

お腹を支えるために上体を反った姿勢は腰痛の原因にもなりますが、足の付け根にも負担がかかります。これにより、足の付け根の痛みが生じます。

また、先に述べたようにホルモンの影響で骨盤が緩みます。その影響で足の付け根が痛くなることも珍しくありません。

妊娠32週のトラブル9:シミやそばかすが増える可能性がある

妊娠中は胎盤からのホルモン刺激によりメラニン色素が増加するため、シミやそばかすが増えることがあります。妊娠によりメラニン色素が増加することで皮膚が強くなるので、産後の授乳による皮膚の刺激に備えているといわれています。

黒ずみも出やすくなりますが、出産後は自然と薄くなります。シミやそばかすの対策には日焼け止めが最適ですが、妊娠中は肌が敏感なので低刺激性を選びましょう。

妊娠32週ごろから出産の前にしておきたいこと5つ

出産に向けての準備は、妊娠後期に入る妊娠28週頃を目処に始めた方が良いと言われています。必要になるものは出産場所や病院で異なりますが、事前に把握して用意しておくと安心です。里帰り出産を希望する場合は、いつまでに里帰りした方が良いのかを確認して予定を立てておきましょう。

妊娠32週からしておきたいこと1:お産(入院時)の準備

出産で入院する時には、入院手続きと入院生活に必要な持ち物を準備します。入院の際は、母子健康手帳・診察券・入院時に必要な書類の提出などが必要になります。忘れず準備しておきましょう。

入院生活で基本的に必要な持ち物は生活用品で、洗面道具・歯ブラシ・下着・パジャマ・スリッパなどは自分で準備するのが一般的です。産院によって入院時の持ち物は違うので確認しておきましょう。また、お産パッド・母乳パッドもあると良いでしょう。

妊娠32週からしておきたいこと2:ベビー用品の準備

退院後はすぐ自宅での子育てが始まるため、赤ちゃんのお世話に必要なベビー用品は入院前に準備しておいた方が良いでしょう。

初めて準備する時は揃え過ぎてしまうこともあるため、育児経験のある先輩方にアドバイスを貰うと無駄なく揃えることができます。わなくなったベビー用品をお下がりでもらったり、大きなベビー用品はレンタルするなどするのもよいでしょう。

妊娠32週からしておきたいこと3:病院の夜間連絡先を確認

出産の兆候は夜間に訪れることもあるため、時間外受付の方法・夜間連絡先・夜間受付の出入口・受付から産婦人科までの道順と距離なども事前に把握しておきましょう。もちろん、入院先や通常時の連絡先など基本的な情報を調べておくことも大事です。

夫の職場・タクシー会社など、病院に向かう際に必要な電話番号も把握しておいた方が良いでしょう。これら全ての情報はメモ書きして、すぐ見ることができる場所に貼っておくことをおすすめします。

妊娠32週からしておきたいこと4:産院までの交通手段

産院までの交通手段として一般的なものは、自家用車かタクシーです。急に陣痛が強くなったり、状態が変化する可能性があるため、パートナーや家族に運転をしてもらいましょう。運転できる人が仕事などでいない時は、タクシーを利用するケースが多いです。

事前に交通手段を決めておくことは大事ですが、あらゆる事態を考える必要があります。タクシー会社の連絡先も見えるところに貼っておくなど、複数の手段を想定した準備をしておきましょう。

妊娠32週からしておきたいこと5:里帰り出産は余裕を持って帰省

産休は出産予定日の6週間前から取れるため、出産に際しての里帰りは妊娠34週目頃までに行うことが一般的です。34週以降の妊婦健診を分娩予定の施設で受けるようにし、状況を把握してもらったうえで出産を迎えられるようにしましょう。

健診は、24週~35週までは2週間に1回、36週以降は1週間に1回受けます。状態によっては、早めの里帰りを指示されることがあります。その場合には必ず医師の指示に従いましょう。

妊娠32週は無理せず楽しく過ごそう

妊娠32週は出産が近い時期ですので、心身的に変化が起きやすいと言われています。おなかが大きくなることによる身体的な影響もありますし、出産に対する不安が強まることで気持ちが不安定になることがあります。

不調感・違和感・不安・心配などで、良くない方向に考えてしまうことも少なくありません。出産に向けて必要な準備を整えながら、心身的に無理をせず過ごせるよう工夫をしてみましょう。