妊娠症状

【専門家監修】妊娠21週の体に起こりやすい変化6つ|体重増加のリスクとは?

妊娠21週目はどういう状態?

妊娠は、女性の「卵子」と男性の「精子」が「受精」し、子宮内膜に「着床」することによって成立します。出産までの平均期間は、個人差ははありますが40週0日で大体10か月ほどです。妊娠は長期に及ぶため、それぞれの妊娠期間ごとに特徴がわかれています。

妊娠21週目は、妊娠の安定期に入る時期です。胎動が頻繁に感じられるほど赤ちゃんも成長してきており、母体の変化も大きくなってくる時期と言えるでしょう。

妊娠21週目の赤ちゃんの様子3つ

妊娠21週目を迎えると、妊娠に伴う自分の体の変化もはっきりと感じられ、赤ちゃんの成長を実感できることでしょう。赤ちゃんの胎動が頻繁に感じられるようになったり、我が子の性別がわかるのもこの頃といわれています。

妊娠21週目の赤ちゃんは、具体的にどのくらい成長しているのでしょうか。この時期の赤ちゃんの様子について、詳しくみていきましょう。

妊娠21週目の赤ちゃんの様子1:手足に指紋ができる

妊娠21週目は、赤ちゃんの指と足が出来上がってくる時期といわれています。手足の指の形成に伴い、自分だけの指紋が完成されてくるのもこの頃です。

赤ちゃんの骨の形成も進み、骨格がしっかりとしてくるでしょう。手は物をつかめるくらい成長し、おなかの中で赤ちゃんが指しゃぶりをしていることもあります。

妊娠21週目の赤ちゃんの様子2:サイクルが現れる

妊娠21週目は、赤ちゃんの眠ったり起きたりするサイクルができ始める時期です。

赤ちゃんは、おなかの中で20分から30分おきに寝たり起きたりのサイクルを繰り返しているといわれており、お母さんは胎動でその様子を感じ取れることでしょう。超音波検査を利用すれば、赤ちゃんの眠っている様子も確認できるでしょう。

妊娠21週目の赤ちゃんの様子3:聴力がほぼ完成する

妊娠21週目になると、赤ちゃんの聴力がほとんど完成するといわれています。しかし、赤ちゃんは羊水に包まれて母体の中にいるので、外で発した音がそのままクリアに聞こえるという訳にはいかないでしょう。

しかし、おなかの赤ちゃんに話しかけたり絵本を読み聞かせることが無意味という訳ではありません。赤ちゃんは音のリズムを感じ取っているといわれているので、リズムでコミュニケーションをとると、胎動で答えてくれるでしょう。

妊娠21週目のママの体に起こりやすい変化6つ

妊娠21週目は安定期に入ってくる時期であると同時に、赤ちゃんの成長に伴う母体への影響も大きくなる頃でしょう。

経産婦であれば体に起こる変化の予想がつくかもしれませんが、初産婦の場合、自分に起きる変化に不安を感じる方もいるのではないでしょうか。

ここからは、妊娠21週目にママの体に起こりやすい変化について、6つほどご紹介していきます。正常な体の変化について知り、安定した妊娠期間を過ごしましょう。

妊娠21週目のママの体の変化1:お腹が大きくなる

妊娠21週目は、赤ちゃんの骨や筋肉の発達が進む分、子宮が大きく重くなるのは避けられません。子宮の増大によって体の重心にズレが生じ、ママの背中の筋肉に負担がかかってきます。それに伴い、腰や背中の痛みに悩まされることもあるでしょう。

大きくなったお腹がママの腸の運動を妨げたり、妊娠によるホルモンバランスの変化によって、便秘しがちになるのも特徴的です。

妊娠21週目のママの体の変化2:吐き気や胸やけ

子宮が大きくなるにつれ、ママの胃が子宮の圧迫によって受ける影響が無視できなくなってきます。胃が圧迫されることで、吐き気に悩まされるママも多くいることでしょう。

加えて、妊娠中に分泌されるホルモンがママの胃と食道間にある筋肉弁の力を弱めます。子宮の胃への圧迫と筋肉弁のゆるみが胃酸を逆流しやすくし、胸やけの症状がでてくるのです。症状が気になる方は、早めに主治医に相談するとよいでしょう。

妊娠21週目のママの体の変化3:汗をかきやすくなる

妊娠中は、妊娠の維持と赤ちゃんの成長を促すため、ママの甲状腺ホルモンの分泌が増加します。甲状腺ホルモンは新陳代謝を促進する作用があるため、妊娠していない時よりママは汗をかきやすくなります。

妊娠中は汗をたくさんかくことを常に意識し、吸湿性や通気性のある衣服を着たり、エアコンなどで過ごしやすい室温に調整するとよいでしょう。こまめな水分補給も、忘れずに気をつけましょう。

妊娠21週目のママの体の変化4:妊娠線が現れる

赤ちゃんの成長に伴う子宮の増大によって、ママの皮膚が急激に引っ張られて断裂し、体に赤紫色の筋が形成されるようになります。これを妊娠線と呼び、皮膚のかゆみの原因になることもあります。

妊娠線に対するケアは、皮膚の保湿を十分に行うことが基本です。皮膚は乾燥していると傷つきやすく、かゆみも強くなります。妊娠中は、いつも以上に保湿に気を配っていきましょう。

妊娠21週目のママの体の変化5:体重の増加

妊娠期間が先に進むにつれて、ママの体重も増加してきます。体重増加の内訳は、成長していく赤ちゃん自身の重さ、胎盤や羊水などの赤ちゃんが育つために必要な物の重さ、ママの皮下脂肪や血液量、水分量増加による重さです。

ある程度の体重増加は、元気な赤ちゃんを産むために避けられないことですが、増えすぎは不調のもととなるでしょう。妊娠中の体重管理は、リスクの少ない出産のために必要な要素となります。

BMI

BMIとは、体重が適正範囲内にあるかどうかを判定するための指標です。体重(kg)を身長(m)の2乗で割ることで計算でき、BMIが18.5未満はやせ型、18.5以上25.0未満はふつう型、25.0以上は肥満型に分類されています。

妊娠中の体重増加の適正値は、妊娠前のBMIによって異なります。自己判断はせず主治医とよく相談し、体重増加を適正範囲内に収めましょう。

妊娠21週目のママの体の変化6:こむら返り

妊娠期間中に、足のこむら返りに悩まされるママも多くいることでしょう。こむら返りは、体重増加による足への負担が原因と考えられ、妊娠中期以降に起こりやすい症状です。

こむら返りは、足の裏、甲、ふくらはぎなどで起きやすく、急激な筋肉の収縮とこわばりによって強い痛みに襲われます。

こむら返りの予防には、寝る前に入浴やマッサージで足の血行をよくしたり、ミネラルと水分の補給で電解質バランスを保つことが大切です。

妊娠21週の体重変化によるリスク5つ

妊娠による体重増加は避けられないことですが、増加量が適正範囲内でコントロールされていないと、ママや赤ちゃんに悪影響を及ぼすリスクが高くなります。

妊娠21週では、体重変化に伴うどのようなリスクがあるのでしょうか。ここでは、妊娠21週の体重変化によって起こるリスク5つについてご紹介します。

体重増加を適正内に管理することの必要性について知り、妊娠中のリスクを避けていきましょう。

妊娠21週の体重変化によるリスク1:妊娠高血圧症候群

妊娠高血圧症候群とは、妊娠中に発症する高血圧のことです。診断基準は、最高血圧が140mmHg以上、または最低血圧が90mmHg以上で、蛋白尿やむくみが認められたり、赤ちゃんの発育不調を引き起こすほど重症化することもあります。

妊娠高血圧症候群の原因は、はっきりとしたことはまだわかっていません。糖尿病や高血圧などの持病があったり、妊娠中の体重の過度な増加がなりやすい要因と考えられています。

妊娠21週の体重変化によるリスク2:巨大児出産

巨大児出産とは、体重4000g以上の赤ちゃんを出産することです。赤ちゃんが成長しすぎるのは、妊娠中ママの血糖値が高い状態で保たれることで、赤ちゃんに過度な栄養が供給されることが原因の1つでしょう。

妊娠中の高血糖は、ママの体重増加が著しい場合に起こりやすいと言えます。巨大児を出産するほど妊娠中に血糖が上昇した場合、出産後のママが糖尿病を発症するリスクも高まると考えられているため、注意が必要です。

妊娠21週の体重変化によるリスク3:帝王切開

帝王切開は、ママや赤ちゃんに危険が及ぶため、経腟分娩が困難と判断された場合に選択されることがあります。

妊娠中の体重増加を適正範囲内にコントロールしていないと、赤ちゃんが大きくなりすぎて分娩が困難になるリスクがあります。その場合、緊急帝王切開に切り替わる可能性があります。

妊娠21週の体重変化によるリスク4:切迫流産

切迫流産とは、流産の一歩手前の状態を指します。流産と違い、切迫流産は適切な対処をすれば、妊娠を継続できるチャンスが残っている状態といえるでしょう。

切迫流産を引き起こす原因として、染色体異常やお母さんの感染などと考えられていますが、明らかな原因は分かっておりません。

また、赤ちゃんの正常な成長にはお母さんの栄養がとても重要です。体重は増加しすぎてもダメですが、増加が少なすぎても問題を引き起こすことがあります。主治医と相談のもと、妊娠中の体重は適正範囲内に収めるようにしましょう。

妊娠21週の体重変化によるリスク5:切迫早産

早産とは、妊娠22週0日から36週6日までに出産することです。早産となるリスクが高い状態のことを、切迫早産と呼んでいます。

切迫早産では、臨月よりも早く生まれようとする力が原因不明で起きます。子宮外で生きていくにはまだ赤ちゃんには負荷が大きすぎるため出来るだけ長くお腹で赤ちゃんを育てる必要があります。

万が一、破水をした場合は羊水の流出で母子とも感染するリスクが高くなることに加え、子宮内にいる赤ちゃんの命にも危険が及ぶ可能性があるため、羊水が流れる感じがある時には直ぐに医師に相談しましょう。

妊娠21週目の食事で摂りたい栄養素4つ

妊娠中は、胎盤を通して赤ちゃんにも栄養を与えています。ママも赤ちゃんも必要な栄養が過不足なく得られるよう、食事内容には十分に配慮する必要があるでしょう。

ここからは、妊娠21週目の食事で摂りたい栄養素について、4つご紹介します。必要な栄養について知り、バランスよい食事を心がけましょう。

妊娠21週目に摂りたい栄養素1:ビタミンB1

ビタミンB1は、ビタミンB群に属する水溶性ビタミンの1つです。ビタミンB1は、白米などの糖質からエネルギーを取り出したり、脳や末梢神経、皮膚や粘膜の機能を正常に保つために必要な栄養素となります。

ビタミンB1を豊富に含む食品は、豚肉、レバー、豆類、米ぬかなど穀物の胚芽です。精米された米よりも玄米の方がビタミンB1を多く含むため、苦手でない方は玄米に変えてもよいでしょう。

妊娠21週目に摂りたい栄養素2:ビタミンB2

ビタミンB2も、ビタミンB群に属する水溶性ビタミンの仲間です。ビタミンB2の摂取不足は、口内炎や口角炎の原因といわれています。。赤ちゃんの場合は、摂取不足で発育不良を引き起こすリスクがあることも無視できません。

ビタミンB2を多く含む食品は、レバー、納豆、卵、牛乳やチーズなどの乳製品が主なものでしょう。ビタミンB2は比較的熱に強いですが、調理の際煮汁に溶け出てしまうので、煮汁も一緒に摂取するとよいでしょう。

妊娠21週目に摂りたい栄養素3:鉄分

鉄は、体内で酸素を運搬する赤血球の生成に欠かせないミネラルです。妊娠中、ママは赤ちゃんにも酸素を送り届けています。妊娠していない時よりも赤血球の必要量は増えることから、鉄は十分に摂取したいところです。

動物性食品は鉄を多く含むものが多く、肉、魚、レバーなどが代表的です。野菜や大豆などの植物性食品にも鉄は含まれていますが、動物性食品にある鉄の方が体内に吸収されやすいといわれているので、おすすめです。

妊娠21週目に摂りたい栄養素4:カルシウム

カルシウムは、骨や歯の成分となるミネラルです。神経や筋肉の働きを正常に保つためにも欠かせません。妊娠中は、赤ちゃんの成長のためカルシウムの必要量が増加します。不足しないように、いつもより意識して摂取しましょう。

カルシウムが豊富な食品として、牛乳、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品があります。乳製品以外にも、小魚、大豆、緑黄色野菜にもカルシウムは含まれていることを覚えておくとよいでしょう。

妊娠21週目は意識した体重管理が必要!

妊娠21週目は妊娠期間の半分が過ぎ、胎動も頻繁になり赤ちゃんの成長を感じられる時期です。つわりも収まり体調が落ち着いてきますが、安定期に入ると食欲が戻り、つい食べ過ぎてしまうこともあるでしょう。

体重変化は、多くても少なくても妊娠中のリスクを高めるため、妊娠期間を通して適正範囲をキープする必要があります。体重管理をしっかり行い、母子とも健康に妊娠21週目以降も過ごしましょう。