妊娠症状

【専門家監修】妊婦が胃腸炎になったらどう対処すればいい?4つの注意点と予防策を解説

そもそも胃腸炎とはどんな状態?

胃腸炎にかかると、発熱や嘔吐、下痢などの症状が現れます。これらの症状は体内に侵入してきたウィルスを体外に排出しようとして起こる反応です。ただでさえ症状が辛い胃腸炎に、妊婦がなってしまった場合、胎児への影響を心配する方は多いです。

万が一に備えて、妊婦が胃腸炎になってしまった場合には赤ちゃんと母体を守るためにも、正しい対処ができるように知識を持っておくようにしましょう。

つわりとの違いは?

胃腸炎の症状の1つに嘔吐がありますが、妊婦にはつわりもあるので、胃腸炎の吐き気なのか、つわりの吐き気なのか判断できないと思ってしまう人もいます。

しかし、胃腸炎の場合はウィルスの潜伏期間後に、急に激しい嘔吐に襲われます。また、その嘔吐はなかなか止まりません。また、合わせて発熱や下痢などの症状も出ます。そのため、妊婦自身がいつものつわりではないと実感できることが多いです。

赤ちゃんへの影響はある?

胃腸炎になると激しい嘔吐や下痢、発熱などの症状に襲われます。これらの症状に襲われてることや、体内にウィルスが侵入していることなどから、胎児への影響を心配してしまう妊婦は少なくありません。

しかし、胃腸炎自体が胎児に影響を与えることはあまりありません。ただし、胃腸炎の症状によって母体が弱ってしまうことが胎児に影響を与えてしまう可能性はあるので注意しましょう。

妊婦が胃腸炎になったときは

妊婦は元気な赤ちゃんを生むためにも、健康状態には注意をする必要があります。しかし、どれだけ注意をしていても、病気を完全に防ぐことはできません。そのため、注意をしていても胃腸炎になってしまう可能性もあります。

もし、胃腸炎になってしまった場合には、まず押さえておくべきポイントがあります。胃腸炎で母体が弱ってしまうと胎児に影響を与えてしまう可能性もあるので、そのポイントは把握しておくようにしましょう。

水分補給をしっかりする

胃腸炎に治療薬はなく、対処療法になります。そのため、胃腸炎になった場合は嘔吐や下痢、発熱などによってウィルスが体外に排出されて回復するまで基本的に待つことになります。

その際に、嘔吐や下痢によって大量の水分が失われます。胃腸炎を早く回復させるためにも、失われた水分を補給しながら、安静に過ごすようにしましょう。もし、水分補給を怠ってしまうと、脱水症状になってしまいます。

胃に優しい食事をとる

嘔吐や下痢の症状が少し治り、食欲が出てきたら体力をつけるためにも食事を摂るようにしましょう。ただし、胃腸炎の症状によって胃腸が弱っているため、食事の内容には注意が必要です。

そのため、いきなり堅い物や脂っこい物、刺激物などを食べることは避けて、おかゆやうどんなどの柔らかくて消化の良い物を少しずつ食べるようにしましょう。

妊婦が胃腸炎になったときの注意点4つ

もし、胃腸炎になってしまった場合は水分補給をしたり、胃に優しい物を食べるようにしたりするなどのポイントがあります。

また、胃腸炎になってしまった場合にはいくつかの注意点もあります。その注意点を把握しておかないと、症状が悪化してしまったり、家族に二次感染してしまうようなことになったりする可能性もあります。

胃腸炎になったときの注意点1:市販薬を自己判断で飲まない

胃腸炎になると、激しい嘔吐や下痢、発熱などに襲われます。その苦しい状態を少しでも和らげようとして、市販薬を飲もうとしてしまう人がいます。

しかし、妊婦が市販薬を飲む場合には、事前にかかりつけの産婦人科や医師に必ず相談したり、確認したりなどする必要があります。

胃腸炎自体は胎児に影響がなくても、その市販薬が胎児に影響を与えてしまう可能性があるので自己判断で飲まないようにしましょう。

胃腸炎になったときの注意点2:体を冷やさないようにする

胃腸炎になると発熱の症状もあるので、体を冷やすことも必要になります。しかし、体を冷やすと、血管が収縮することになります。

そのため、妊婦の場合は子宮の血管も収縮させてしまい、胎盤への血液の流れも悪くなります。また、子宮の筋肉も収縮するので、お腹が張りやすくなってしまいます。発熱の症状を抑えるためであっても、体の冷やしすぎには注意が必要です。

胃腸炎になったときの注意点3:トイレはふたを閉めてから流す

嘔吐や下痢などの胃腸炎の症状はウィルスを体外に排出するためのものです。そのため、胃腸炎になった人の排泄物や嘔吐物によって、家族に胃腸炎が感染してしまう可能性があります。

もし、胃腸炎となっている人の下痢によって出た排泄物を流す場合には、そのウィルスが飛散しないように、必ずふたを閉めてから流すようにしましょう。

胃腸炎になったときの注意点4:嘔吐物などは適切に処理する

胃腸炎になった人の嘔吐物や排泄物にはウィルスが含まれています。そのため、家族が感染しないためにも、これらは適切に処理をする必要があります。

嘔吐物は乾燥するとウィルスがとび散りやすくなるので、早く処理しましょう。また、嘔吐物の処理をする場合は手袋とエプロンをして、嘔吐物は密閉しましょう。可能であれば吐瀉物自体に塩素系漂白剤などを掛けて消毒してから処理すると、より安全です。

胃腸炎になったときの注意点5:症状がひどいときは受診する

胃腸炎自体は胎児に影響は与えません。しかし、症状がひどく、母体が弱ってしまう場合には胎児に影響を与えることもあります。そのため、症状の具合によっては病院で診てもらう必要があります。

38度以上の高熱が出た場合は、たとえ時間外であっても、早急に病院を受診する事をおすすめします。他にも、脱水症状や、37.5度以上の熱が3日以上続いている、激しい腹痛があるなどの場合も無理をせずに病院へ行きましょう。

体重が減ってしまったときはどうする?

胃腸炎になると激しい下痢や嘔吐になり、食欲も落ちることから、体重が減ってしまうことがあります。妊婦にとって体重管理は重要なことなので、体重が減ってしまったことに心配をしてしまう人もいます。

しかし、胃腸炎が治り、食事が摂れるようになってから栄養のある食べ物をしっかりと摂って、徐々に体重を戻していけば問題はありません。

胃腸炎にならないための予防策3つ

どれだけ注意をしていても完全に病気を防ぐことはできません。そのため、胃腸炎になってしまったときに備えて、正しい知識を持っておくことは必要です。

しかし、可能であれば胃腸炎にならないことが1番望ましいです。胃腸炎にならないようにするためにも、その予防策を把握しておきましょう。

胃腸炎の予防策1:しっかり火が通った食べ物を摂る

胃腸炎の原因となるウィルスや細菌は食べ物から体内に侵入してくることがあります。その多くは加熱によって処理することができます。そのため、妊婦はできるだけ生食を控え、しっかりと加熱した物を食べるように意識しましょう。

また、生肉などの細菌がいる可能性のある物に触れた箸や調理器具が、食事に使う箸や皿に触れたり、それらを触った手で別の物に触れるなどして、細菌を移してしまわないように注意しましょう。

胃腸炎の予防策2:油分が多い食べ物・消化に悪い食べ物は避ける

胃腸炎になると、胃腸が弱ってしまいます。そのため、もし胃腸炎になってしまった場合は、食欲が回復してきたとしても、油分が多い物や消化に悪い物はしばらく避けるようにしましょう。

食事が摂れるようになってきたら、おかゆやうどんなどを少量ずつ食べるようにすると良いでしょう。弱った胃腸を徐々にならしながら、通常の食事に戻していきましょう。

胃腸炎の予防策3:冷たい飲み物・食べ物を避ける

妊婦が体を冷やすと、子宮の血管が収縮して胎盤への血液の流れが悪くなったり、子宮の筋肉が収縮してお腹が張ったりなどしてしまいます。そのため、冷たい飲み物や食べ物は避けるようにしましょう。

また、冷たい物をたくさん飲んだり、食べたりすると、胃腸炎ではなく、胃が荒れて胃炎になる可能性があるので注意しましょう。また、油分が多い物や消化に悪い物なども胃炎の原因となることがあるので食べ過ぎに注意しましょう。

妊婦が胃腸炎になったら適切に対応しよう

妊婦が胃腸炎になり、母体が弱ってしまうと胎児の成長に影響を与えてしまう可能性があります。また、胃腸炎は嘔吐物や排泄物などを通して、家族に感染してしまう可能性もあります。

そのため、胃腸炎にならないための予防策や、もし胃腸炎になってしまった場合の適切な対処方法などはあらかじめ把握しておくようにしましょう。