子育て

【専門家監修】新生児がいる家で猫を飼う6つの注意点|猫と生活するメリットとは

新生児がいる家で猫は飼える?

猫を飼っている人は妊娠すると、赤ちゃんと猫は同居してもいいのか不安になります。赤ちゃんと猫は、いくつかの点に気を付ければ同居しても問題ありません。むしろ、同居することでいい影響もあります。

この記事では赤ちゃん、とくに新生児と猫が同居するうえで気を付けるべきことについてご紹介します。

新生児がいる家で猫を飼う6つの注意点

新生児が猫と同居するうえで注意しなければいけないのは、猫のストレスを考慮することです。今までいなかった新生児がやってきて家の雰囲気が変わる、飼い主さんがかまってくれなくなるということは猫のストレス源です。ストレスが溜まると猫は攻撃的になることもあります。

ストレスの矛先が新生児に向かってしまわないためにも、また今後仲良く育っていってもらうためにも猫のストレス対策をする必要があります。

猫を飼う注意点1:新生児を初めて家に連れて帰ったとき

猫との再会時はできれば飼い主以外が新生児を抱っこするようにしてください。猫は飼い主の不在でストレスを感じています。猫を落ち着かせるため、初対面の新生児にいきなり会わせることはやめましょう。

再会を果たしたあとも無理やり赤ちゃんに会わせるようなことをせず、猫のほうから新生児に近づいてくるタイミングを待ちます。猫が新生児を怖がらないよう、寝ている時や静かにしている時がベストです。

猫を飼う注意点2:新生児と同じところに寝かせない

猫は温かい場所を好みます。新生児は体温が高いので、気付いたら赤ちゃんの上に乗っていたなどという話もまれにあります。新生児は猫を払いのけられませんし、呼吸する力も強くありません。もしものことを考えて、新生児のいる寝室には猫が自由に入れないようにしておいたほうがいいでしょう。

ベビーベッドは高さがありますが、ジャンプの得意な猫にはどうということのない高さです。蚊帳を吊ると猫の侵入を防ぐことができます。

猫を飼う注意点3:猫に新生児を慣らす

猫にとって新生児は飼い主とは全く違う、得体の知れない生き物です。得体の知れない生き物がいきなり家にやってきて一緒に生活しなければならないのは、猫でなくともストレスです。できる限り事前に準備をして、早く猫が新生児を受け入れられるようにしましょう。しっかり準備することで猫のストレスは減らせます。

猫は人間と比べ、嗅覚や聴覚がとても敏感です。そういった猫の特性を利用して新生児に慣らす方法があります。

新生児の匂い

猫の嗅覚は人間の数万倍から数十万倍といわれ、とても匂いに敏感です。繊細な猫には慣れない匂いはストレスになります。嗅いだことのない匂いのする新生児を猫は警戒します。あらかじめ猫に新生児の匂いを嗅がせ慣れさせておくのもひとつの方法です。

入院中に新生児が使ったタオルやガーゼを家族に持って帰ってもらい、猫の寝床などに置いておきましょう。

新生児の声

退院前に新生児の声を録音して猫に聞かせておくのも効果的です。大人の声と新生児の声では周波数が違います。おなじ人間の声でも猫にとってはまったく別物なので、事前に慣れさせてあげましょう。

また、赤ちゃんのおもちゃは音の鳴るものが多いので、こんな音が鳴るよと教えておいてあげると猫が驚きません。

新生児の動き

新生児の動きは予測ができません。神経質な猫は、いきなり声を上げてバタバタ動く新生児にとても驚きます。場合によっては攻撃の意図があると勘違いして反撃に出てしまうこともあります。

猫が新生児はこういうものだとある程度理解するまでは、お互いに危険が及ばない距離を保ち新生児を観察させてあげましょう。

猫を飼う注意点4:猫の隠れ家を用意する

猫はゆったりと過ごすのが好きな動物です。にぎやかな新生児や、慣れない育児に奔走する飼い主さんとの生活がストレスになってしまう可能性もあります。静かな場所でゆったりできる時間が持てるよう、隠れ家が必要です。

可能な範囲で静かな場所に設置してあげましょう。赤ちゃんが動き回れるようになった時のことを考慮して手の届かない高いところに設置するのもおすすめです。

猫を飼う注意点5:隔離部屋を用意する

神経質なタイプの猫は新生児に慣れるまでに時間がかかることもあります。猫が新生児になかなか慣れてくれずに嫌がる、威嚇をするなどして危険と感じた場合は隔離部屋を用意しましょう。

同じ部屋であればパーテーションで仕切ったりケージに入れるなどして対策します。トイレやご飯もきちんと隔離スペースに用意してあげてください。焦らず時間をかけて慣れてもらいましょう。無理は禁物です。

猫を飼う注意点6:新生児が猫と接するときは親と必ず一緒

新生児のあいだは猫と接するとき必ず家族が立ち会うようにしましょう。猫にひっかかれたり噛まれたりすることのないように見張っていてください。少しの時間でも、家族がその場から離れるときは新生児を連れていくか猫を隔離してください。

子どもが猫と一緒に生活するメリット2つ

動物と一緒の生活は子どもの心を豊かにします。かわいい猫の面倒を見ることでやさしい気持ちが芽生えたり、素直な愛情表現にうれしさを感じたりとよい情操教育になるのです。また、言葉が話せない動物の気持ちを想像しようとすることで社会的スキルが身に付きます。

子どもの情緒が安定しやすい

猫との触れ合いは、脳内分泌ホルモンのオキシトシンを放出させます。オキシトシンは「幸せホルモン」と呼ばれ、分泌されると幸せな気持ちになったり、ストレスが緩和されたりします。また、心臓の機能を上げたり人付き合いや学習に対する意欲が湧くことも分かっています。

赤ちゃんも柔らかくあたたかい猫と触れ合うことでこのオキシトシンが分泌され、情緒が安定しやすくなります。

命の大切さを教えてくれる

猫の寿命は15年程度といわれています。悲しいことではありますが、一緒に育った猫といつかお別れする日がやってきます。子どもはずっと一緒に生活してきた猫の死に直面することで、命の大切さを実感できるのです。

誰しも永遠に生きられるものではないということ、命は大切にしなければならないということを最後に猫は身をもって教えてくれます。つらい経験はきっと子どもを一回り成長させてくれるでしょう。

新生児が猫と一緒に生活するデメリット

猫と子どもが一緒に生活することはメリットだけではありません。子供との生活は猫にとってストレスが多いうえに、慕っていた飼い主がかまってくれなくなり寂しい思いをしています。

特に新生児のうちは飼い主が子どもにかかりきりになりがちです。不満を感じた猫は困った行動に出てしまうこともあるので、寂しい思いをさせないよう気を付けましょう。

新生児に猫が嫉妬してしまう

猫は嫉妬深い動物といわれます。それまで独占していた飼い主を新生児に取られてしまい、やきもちを焼く猫も多いようです。猫はやきもちを焼くと赤ちゃん返りをしたり、注意をひこうと粗相やいたずらをします。時には新生児にちょっかいを出してしまうこともあります。

猫が嫉妬をしていると感じたらコミュニケーションをとる時間を作ってあげることも大切です。放っておくと赤ちゃんのことを嫌いになってしまう原因にもなります。

妊娠中に猫と接する注意点

赤ちゃんが生まれてからだけではなく妊娠中も、猫との接触について注意が必要です。猫はトキソプラズマという寄生虫に感染していることがあります。このトキソプラズマは人間にも感染します。

特に、初めて妊娠中にトキソプラズマに感染すると胎児に重大な悪影響があるため、感染を防がなくてはなりません。

完全室内飼いの猫の感染は少ないとされていますが、確実にいないとは言い切れません。心配な場合は感染の検査をできる動物病院もあるので検討してください。

トキソプラズマに感染しないようにする

トキソプラズマは猫の体内に生息する寄生虫です。妊娠中にトキソプラズマに感染すると、胎盤を介し胎児に感染することがあります。大人は感染してもほぼ無症状ですが胎児が感染すると死産、流産や視力障害、精神運動障害のリスクがあり危険です。

妊娠中の女性がトキソプラズマに感染する原因は猫の糞への接触、加熱の不十分な肉の食用などです。トイレの砂の交換は妊娠中でない人に毎日やってもらいましょう。

新生児への影響

妊娠中に胎児が母体を通じてトキソプラズマに感染することを先天性トキソプラズマ症といいます。主な症状は水頭症・視力障害・脳内石灰化・精神運動機能障害です。胎児のうちから発育不良などの症状が出ることもあれば、新生児期以降に初めて症状が出ることもあります。

先天性トキソプラズマ症は妊娠初期の感染率は低く、後期に行くにしたがい感染率が上がります。また、感染が初期であるほど重症度が上がります。

妊娠中の感染のうち30%程度は胎児へ感染するといわれていますが、必ずしも発症するわけではありません。

トキソプラズマの感染を防ぐ方法

トキソプラズマには次亜塩素酸やアルコールは効果がありません。猫のトイレはもちろん、猫が用足しをしている可能性のある庭土もなるべく触れないようにしましょう。猫とのキスも危険です。

やむを得ず妊婦がトイレ処理をする場合は手袋を着用し、処理後にしっかり手を洗ってください。トイレは熱湯消毒しましょう。トキソプラズマが猫の体内から出て感染力を持つのは24時間後なので、猫の排便後すぐに掃除をするのも効果的です。

注意すれば新生児がいる家でも猫を飼える!

猫は大切な家族です。妊娠したら猫を手放すべきという意見を聞くこともありますが、上記のことに注意していれば猫との共存は全く問題ありません。それどころか新生児を情緒豊かな優しい子に成長させてくれます。

新生児と猫のお世話の両立は大変ですが、いつか仲良く過ごす我が子と猫の姿を見ることを目標に頑張りましょう。