出産準備

【専門家監修】妊娠中に撮影するエコー写真の見方は?英字や記号の意味18種

妊娠中に撮影するエコー写真の見方を知っておくべき理由

妊婦健診で受け取るエコー写真では、お腹の赤ちゃんの各器官の成長の様子や、赤ちゃんの形、どのような姿勢かがわかります。

説明を聞いている時は理解できたつもりでも、帰宅して家族に説明しようとしたときに写真の見方がわからないという方も多いようです。

エコー写真の見方を知っておくことで、赤ちゃんの発育を理解しながら出産までの心の準備ができるでしょう。

妊娠中に撮影するエコー写真で何がわかるの?

妊婦健診の際、母体であるお母さんはわが子の成長に安心したり喜びを感じていますが、医師や医療者側はお腹の赤ちゃんの状態を確認する基本検査として様々な項目をチェックしています。

チェックしている内容には、赤ちゃんの心拍や向き、推定体重の他に、羊水の量などがあります。

赤ちゃんの向きから、頭がどの位置にあるかがわかり、逆子かどうかがわかります。胎盤の位置が正常か、前置胎盤でないかも確認しています。

妊娠中のエコー写真の種類

妊婦健診で行うエコー検査には2D、3D、4D、カラーの4種類があります。

一般的に用いられるのは白黒の2Dエコーで、赤ちゃんの体の断面を映し出して骨や内臓の状態が観察できます。

2Dの情報を立体的にしたのが3D、3Dの画像を動画で見られるのが4Dです。3Dと4Ⅾではしぐさや表情、手足の指まで立体的に見られます。カラーは主に、2Ⅾで異常が見られた際に血液の流れを映し出すのに用いられます。

妊娠中に撮影するエコー写真の英字や記号の意味18種

体の外側から見ることのできない赤ちゃんの姿を写して成長を記録できるエコー写真は、手にするだけでうれしい気持ちになりますが、たくさん並んだ英字や数字などの専門用語はわかりにくいものです。

知らないと理解の難しいエコー写真の英字や記号、18種の意味について詳しく解説していきます。ぜひ参考にしてみてください。

妊娠中のエコー写真の見方1:GAまたはAGE

「GA」または「AGE」と表記されている項目は「Gestational Age」の略で、日本語では在胎週(胎齢)を意味しています。聞きなれた言葉では「妊娠週数」と同じ意味です。

例えば「GA 12w5d±1d」と表記されている場合、妊娠12週5日で誤差はプラスマイナス1日という意味になります。妊娠何週目か確認したいときはエコー写真の「GA」または「AGE」を見つけましょう。

妊娠中のエコー写真の見方2:EDCまたはDEL

EDCまたはDELとは、出産予定日のことです。EDCは「Expected Date of Confinement」、DELは「expected delivery date」と異なる表現ですが、どちらも出産予定日を意味します。

EDCまたはDELに「19/05」とあれば、5月19日が出産予定日ということです。日本の表し方とは月と日の順序が逆で戸惑いますが、見方を覚えておくとわかりやすいでしょう。

妊娠中のエコー写真の見方3:GS

GSとは、胎嚢(たいのう)のことで「Gestational Sac」の略です。

胎嚢は、赤ちゃんを包んで育む部屋のことで、エコー写真では黒い円や楕円形に見えます。確認できる時期は妊娠6週ごろが多く、その頃の胎嚢の大きさは1.5cmから2cmほどでしょう。

記号の見方としては「GS」にmm表示の数字を見つけましょう。「GS 20mm」とあれば胎嚢の大きさが2センチということになります。

妊娠中のエコー写真の見方4:BPD

BPDは「biparietal diameter」の略で、「児頭大横径」を意味します。「児頭大横径」と聞くと難しく感じますが、簡単に言うと「赤ちゃんの頭を真上から見たときの横幅の大きさ」「赤ちゃんの頭の直径」です。

例えば「BPD 34.8mm」のように表現されます。

妊娠週数や出産予定日の算出に用いられる重要な数値で、しっかり見方を覚えておきたい項目の一つです。

妊娠中のエコー写真の見方5:FOD

FODは「Frontal Occipital Diameter」の略で「頭蓋前後径」のことです。

BPDは赤ちゃんの頭を真上から見たときの「横幅の大きさ」ですが、FODは「前後の大きさ」です。赤ちゃんの頭の形を楕円のような形で表したとき、BPDに対して十字に交わる線になります。

見方としては、「FOD 5.03cm」とあれば、赤ちゃんの頭を真上から見て前後の大きさは5.03cmということになります。

妊娠中のエコー写真の見方6:AC

ACは「Abdominal Circumference」を省略した表記で「腹部周囲長」のことです。腹部周囲長とは、赤ちゃんのお腹の周りの大きさを表します。

例えばAC 151.7mm」とあれば、赤ちゃんのお腹の周りは15.17cmだとわかります。この見方を知っていると、より赤ちゃんの大きさを想像しやすくなるでしょう。

妊娠中のエコー写真の見方7:CRL

CRLは、妊娠初期のエコー写真に記されている数値で正式には「Crown Rump Length」と表し日本語では「頭殿長」と言います。頭殿長は赤ちゃんの頭の先からおしりの先までの長さ、赤ちゃんの座高のことです。

「CRL 30mm」などと書かれています。CRLを計測するのは妊娠9週前後で、妊娠12~13週頃からはBPD(児頭大横径)を計測して記入されるようになります。

妊娠中のエコー写真の見方8:FTA

FTAは「Fetal Trunk Area」を省略したもので日本語では「腹部躯幹(くかん)面積」と言います。腹部躯幹面積は赤ちゃんの腹部断面面積のことで、赤ちゃんの腹部の発育具合を調べられます。

「FTA 24.9㎠」のように表記されます。長さを表す項目が並んでいる中に面積の単位を見つけると不思議に思うかもしれませんが、見方を知っていればお腹の発育に関する数字だと理解できるでしょう。

妊娠中のエコー写真の見方9:TTD

TTDとは「Transverse Trunk Diameter」の略で日本語では「体幹横径」、赤ちゃんのお腹の横幅のことです。TTDを計測されるのは妊娠20週頃からで、お腹の発育具合を調べられます。

エコー写真には「TTD 4.51cm」のように書かれています。赤ちゃんのお腹の前後の長さ(APTD)と組み合わせた計算から推定体重が算出されます。

妊娠中のエコー写真の見方10:EFW 

EFWは赤ちゃんのおおよその体重(推定児体重)を示したもので、正式には「Estimated Fetal Weight」と表記します。

「EFW 399g」とあれば、赤ちゃんの体重は399gに成長していると推測されます。おおよその体重から成長の具合を確認できますが、赤ちゃんの位置などで正確に計測できない場合もあるので、確実ではないということも覚えておくとよいでしょう。

妊娠中のエコー写真の見方11:APTD

APTDを省略せずに表記すると「Antero-Posterior Trunk Diameter」で、「躯幹前後径」という赤ちゃんのお腹の前後の長さのことです。TTDが赤ちゃんの横幅の長さのことなので、TTDに対して十字になる部分の長さです。

「APTD 5.38cm」のように表記されます。TTDで紹介したように、赤ちゃんの体重を推定するための計算に用いられる数字です。

妊娠中のエコー写真の見方12:LMP

LMPは「Last Menstrual Period」の略で、最終月経を意味します。最終月経を迎えた時点では妊娠していませんが、妊娠週数の起点となる「0週0日」となるのがこのLMPとして記されている日付です。

この日付に40週(280日)を足した日が出産予定日となります。「LMP=03y07m05d=23w0d」なら「03年7月5日」が最終月経の日付で、そこから算出された妊娠週数が23週0日となります。

妊娠中のエコー写真の見方13:HL

HLとは「Humerus Length」の略で、「上腕長」を意味していて赤ちゃんの肩からひじまでの骨の長さを表します。

「HL 7.1mm」のように長さが表記されます。FL(赤ちゃんの太ももの骨の長さ)と同様に、赤ちゃんの骨の発育の確認に用いられますが、一般的にはFLを計測して確認するため目にする機会は多くありません。

妊娠中のエコー写真の見方14:FL

FLとは「Femur Length」の略で「大腿骨長」(大腿骨の長さ)を表しています。

「FL 18.6mm」という表記があれば赤ちゃんの大腿骨(太ももの骨)は18.6mmだとわかります。大腿骨は人間の骨の中で一番長い骨で、赤ちゃんの成長を知ることができます。

妊娠中のエコー写真の見方15:SD

SDは「Standard Deviation」の略で、標準偏差のことです。SD値は赤ちゃんの大きさの偏差値で、平均と比べてどれくらいかを表します。

エコー写真には「SD+0.85」「SD-1.04」のように表示されます。+-1.5までは正常値とされています。+や-の記号の見方を知らないと不安に感じてしまいますが、医師から特別な指摘がない限り気にしすぎる必要はないでしょう。

妊娠中のエコー写真の見方16:AFIやAFP

AFIやAFPは羊水に関係がある数値です。羊水は英語で「Amniotic fluid」です。AFIは「Amniotic Fluid Index」の略で羊水インデックス、AFPは羊水ポケットを示します。

羊水インデックスは赤ちゃんのおへそを中心に子宮を4つに分け、それぞれの一番深い部分の数値を足したもので「AFI 39.1cm」と書かれます。羊水の量は多すぎても少なくてもよくないので、大切な確認項目です。

妊娠中のエコー写真の見方17:CTAR

CTARは「cardiothoracic area ratio」を省略したもので、「心胸郭面積比」のことです。CTARは、心臓の面積を胸郭(心臓や肺などを包んでいるカゴのようなかたいの部分)の面積で割った値のことで、赤ちゃんの心臓の大きさを確認するために調べられます。

例えば「35%」のように%で表示されます。CTARの正常値は40%以下とされています。

妊娠中のエコー写真の見方18:APTD×APTD

APTD×TTDは、APTD(赤ちゃんのお腹の前後の長さ)とTTD(赤ちゃんのお腹の前後の長さ)を掛け合わせた値で、赤ちゃんの腹部の面積を表します。

例としては「APTD×TTD=15.4㎠」のように表記されます。この数値から成長を確認することもできますが、多くの場合BPD(赤ちゃんの頭の直径)やFL(赤ちゃんの太ももの骨の長さ)と組み合わせた計算式で赤ちゃんの推定体重を導き出すために用いられます。

妊娠中のエコー写真の見方や保管のポイント3つ

妊娠期間中はもちろん、出産後も赤ちゃんがお腹にいたときのエコー写真は何度も見返してずっと大切に保管しておきたいものでしょう。見方を覚えて理解する事とともに、劣化させずに保管する方法も知っておくとよいでしょう。

ここからはエコー写真に写っている黒と白の部分の違いや、長期間の保管に適した方法について3つのポイントを紹介します。ぜひ参考にしてみてください。

写真の見方や保管のポイント1:黒と白に見える部分の違い

エコー写真には、超音波の性質が利用されています。超音波は、液体などは通り抜けてかたいものにぶつかると反射しますが、エコー写真では超音波の反射が弱いものは黒く、強いものは白く写ります。

エコー写真の黒い部分は、液体である羊水や血液、心臓や胃の中の羊水などの水分で満たされている部分です。白い部分は、背骨や頭蓋骨などのかたい部分で、赤ちゃんの輪郭も白っぽく写ります。

写真の見方や保管のポイント2:性別がわかる時期は?

外性器がはっきり写っていれば赤ちゃんの性別がわかりますが、赤ちゃんの位置や体勢によって外性器が見えにくい場合もあるので、必ずわかるわけではありません。

早ければ12週から15週のエコー検査で性別がわかることもありますが、まだ確認が難しい時期です。

16週を過ぎてエコー検査で外性器がしっかり見えると、性別の判断がつきます。20週になれば男女の区別がよりはっきりするため、性別の判別がしやすくなるでしょう。

写真の見方や保管のポイント3:保管する方法は?

感熱紙に印刷されたエコー写真は時間の経過で消えてしまうため、そのまま保管するのはおすすめできません。

コピー機を利用してコピーを保管するという方法は手軽ですが、長期間の保管では劣化することがあります。

スキャナーを使って写真をとり込み、パソコンに保存したりCD-ROMに書き込む方法であれば劣化の心配はありません。

さらにアルバム作成などのサービスを請け負う写真店もあるので、依頼するのも一つの手段です。

妊娠中のエコー写真の見方を知っておこう

エコー検査で、お腹の赤ちゃんの心臓の音を聞いたり成長を見られることを心待ちにしている方も多いですが、見方がわからないとかえって不安になることもあります。

エコー写真の見方を知ることで、お腹の赤ちゃんの発育を確認できるので、お腹の中にいるときから赤ちゃんの成長記録を作ることもできます。

この記事を参考に、エコー写真で赤ちゃんの成長を確認しながら、赤ちゃんが大きくなったときに一緒に見返すことができるように、成長記録を作ったりして妊娠期間中も楽しんで乗り切りましょう。