妊娠症状

【専門家監修】妊娠初期の頭痛を緩和する方法9つ|妊娠初期の頭痛の原因4つ

妊娠初期の頭痛とは?

妊娠初期にマイナートラブルはよくあることです。つわりというと消化器系のように感じますが頭痛もホルモンバランスが関係することもあり、つわりの一種です。

妊娠以前から頭痛持ちの人の場合、同じような痛みなら心配ないのか、また頭痛薬を飲んでも大丈夫なのかなどと考え、精神的にも不安や迷いが出てくるでしょう。

そもそも、頭痛のメカニズムは妊娠以前と同じかどうか分からない人も多いでしょう。さまざまな不安を一つずつ解消して、快適で安心なマタニティライフを送りましょう。

妊娠が影響を及ぼしている

妊娠初期の頭痛の原因は複数ありますが、妊娠が影響を及ぼしていることがあります。例えば妊娠によりホルモンバランスが変わったり、血流が悪くなったり、運動不足や同じ姿勢を続けていることが原因で頭痛を引き起こすことがあります。

これらの場合、原因が分かれば緩和させる方法も分かります。少しでも辛い頭痛を軽減させていきましょう。

妊娠初期の頭痛の種類

妊娠初期頭痛には、明らかに頭痛の原因となる病気が見つからない一次性頭痛と、病気が原因で起こる二次性頭痛があります。

ここからは、それらの頭痛がどういったものなのかを具体的に紹介していきます。薬を飲んでもいいのか、病院に行く必要はあるのか、しっかり見極めましょう。

一次性頭痛

一次性頭痛は、他の疾患から続発したものではなく、頭痛自体が独立した疾患であるものです。具体的には、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛です。

妊娠以前からそれらの頭痛が起こる人もいるでしょうが、妊娠によりホルモンバランスが変化することで引き起こされることもあります。また、妊娠中期になるとさらにホルモンバランスが変化することから、頭痛が緩和することがあります。

片頭痛

ズキンズキンと脈打つような頭痛、身体を動かすとガンガンする頭痛、頭の右側だけまたは左側だけなど、片側だけ痛くなる頭痛でこれらを片頭痛と言います。特に女性の場合、生理中に起こることも少なくありません。

片頭痛は、脳の血管が拡がることから引き起こる頭痛です。妊娠初期から中期にかけては、血管を拡張するとされるプロゲステロン(黄体ホルモン)が多く分泌されます。そのため、生理痛のときにあるような頭痛が起こりやすくなります。

緊張型頭痛

ストレスや筋肉の緊張、長時間同じ姿勢でいること、血管の圧迫などにより頭全体、もしくは後頭部から首、背中にかけて締め付けられるような頭痛を緊張性頭痛と言います。

血流が悪くなっていることが原因に考えられるので、ストレッチしたり、カイロを使って温め、血流をよくするといいとされています。

二次性頭痛

二次性頭痛は、何らかの病気の症状として起きる頭痛です。風邪や二日酔いなどからの頭痛は自然に治りますが、脳出血やくも膜下出血などのような脳の病気による頭痛の場合は生命の危険もあります。

これらの脳の病気は、突然これまで経験したことがないような、激しい頭痛があらわれることが多いようです。

脳卒中

脳卒中は、脳出血や、くも膜下出血、また脳梗塞などに分類されます。これらは脳の血管が詰まったり、破れたりすることによって、脳が障害を受ける病気です。

手足の麻痺やしびれ、突発する頭痛や嘔吐、言葉がうまく話せなくなったり、物が二重に見えたり、意識がなくなったりすることもあります。このような症状が出た場合は、すぐに病院に行きましょう。

妊娠高血圧症候群

頭痛とともに血圧が上がっているならば、妊娠高血圧症候群が考えられるので産婦人科でみてもらいましょう。妊娠高血圧症候群とは、妊娠中に血圧が上がる「妊娠高血圧症」と、高血圧とタンパク尿、腎臓などの機能障害、赤ちゃんの発育不良がおこる「妊娠高血圧腎症」があります。

重症化すると、けいれんを起こしたり、意識を失ったりする子癇や、脳出血といった命に関わることにもつながります。

妊娠初期の頭痛の原因4つ

なぜ、妊娠初期に頭痛が起きやすいのでしょう。その原因が分かれば、予防方法を見つけられたり、自分の体の変化に寄り添えることでしょう。

ここから頭痛の原因を紹介していきます。妊娠初期の頭痛の原因は、ホルモンバランスの変化、精神的な不安やストレス、つわりの症状の1つ、体型の変化の4つが考えられます。詳しく見ていきましょう。

頭痛の原因1:ホルモンバランスの変化

妊娠するとホルモンのバランスが変わるということを、聞いたことがある人は少なくないでしょう。なぜそれが頭痛と関係があるのでしょう。それは、妊娠によってプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が増えることが原因です。

この、プロゲステロンが自律神経に作用し、末梢の血管を拡張させ、脳の中の血管も拡張し、周辺の神経を刺激するため、それが頭痛の原因の1つになります。

頭痛の原因2:精神的な不安やストレス

妊娠による体の変化、生活スタイルの変化により、精神的な不安やストレスを感じることがあります。そして、このことが頭痛の原因の1つにもなっています。

ストレスと頭痛のメカニズムは、まだ完全に判明されていませんが、交感神経の過剰、筋肉の緊張による血管の圧迫、血液循環の不良が考えられています。

頭痛の原因3:つわりの症状の1つ

つわりの症状は、食欲不振や吐き気、胃のむかつき、ムカムカ、下痢など消化器系の症状をさすことが多い傾向です。しかし、つわりの症状はそれだけでなく、頭痛やめまい、激しい倦怠感を感じる人もいます。

つわりからの頭痛は、酷いつわりのため十分食事が食べられず、その結果血糖値が低くなり、それが頭痛と関係しているとも考えられています。

頭痛の原因4:体型の変化

妊娠すると、徐々に乳房が大きくなり首や肩の負担が大きくなり、肩こりの症状がでることもあります。

また、お腹を守るために体のバランスが崩れ、腰痛を引き起こすことも少なくありません。こうした体型の変化からも、頭痛が引き起こされる原因になります。

妊娠初期の頭痛を緩和する方法9つ

妊娠初期につらい頭痛でストレスをためないためにも、自分で緩和させる方法を9つ紹介します。どれも自分で簡単にできることばかりなので、無理のない範囲で試してみましょう。

また、頭痛になる前に普段から予防できるものもあります。生活スタイルを見直してみるよい機会にしてみましょう。

頭痛を緩和する方法1:静かな部屋で休む

妊娠中は何かと不安になったり、ストレスを感じる機会が多くなります。必要以上に不安がらず、ストレスをため込まないようにしましょう。

もし、頭痛の症状がでたときは、ストレスフルな脳を休ませるためにも、音や光など、刺激が入らない静かな部屋で休みましょう。

頭痛を緩和する方法2:温めるもしくは冷やす

妊娠初期の頭痛の原因として血流が問題のこともあるため、温めるもしくは冷やすと痛みが緩和することがあります。温めると冷やす、相反する対処法、どちらにするべきかは頭痛の症状によります。

もし、片頭痛の症状なら、血管が拡がっていることが考えられるので冷やしながら、こめかみのあたりを押すと痛みが落ち着くでしょう。

一方、緊張型頭痛の症状は、血流が悪くなっているので、温めたり首や肩をマッサージすると痛みが緩和されると言われています。

頭痛を緩和する方法3:気分転換をする

妊娠すると、黄体ホルモンが増加し自律神経のバランスが崩れることがあります。そのことで、普段よりストレスを感じやすくなり、それが頭痛の原因になっていることもあります。

ストレスをため込まず、原因となっているものがあれば、そこから離れるようにしましょう。そして気分転換できるもの、環境、時間を作ってみましょう。

また、鉄分が不足すると、ストレスやイライラがたまりやすくなります。ビタミンCが多く含まれるものと一緒に摂取すると鉄分が吸収されやすいので、意識して摂取を心がけましょう。

頭痛を緩和する方法4:姿勢を正しくする

妊娠すると、少しずつ体型が変化し、肩こりや腰痛などがでてきます。そして、知らず識らずに姿勢が悪くなっていることがあります。そのため、まずは正しい姿勢を意識して生活していきましょう。

さらに、無理のない範囲でストレッチし、血行をよくすると痛みが緩和することがあります。

頭痛を緩和する方法5:分割食を試す

妊娠初期のつわりなどにより食欲がない場合、低血糖から頭痛が引き起こされている場合があります。それを予防するために、少しずつ食事をする分割食を試すのもおすすめです。例えば、半人前から0.7人程度を一日に4、5回に分けて食べる方法です。

なお、食事が難しい場合には、スポーツドリンクとフルーツ(糖分と水分補給)だけでも試してみましょう。

頭痛を緩和する方法6:水分を多く摂取する

妊娠中はむくみやすく、水分を摂取したくない、しない方がよいと思う方もいるでしょう。しかし、赤ちゃんをお腹の中で育てるのには水分が必要です。

さらに、つわりで嘔吐がある場合、体内の水分量が少なくなっていることがあります。それが頭痛につながることもあるので、少しずつでも水分を摂取するようにしましょう。

頭痛を緩和する方法7:目を休める

妊娠すると家にいる機会が増えて、テレビやパソコン、スマートフォンなど小さな文字を見る機会が増えるでしょう。そのため、目の疲れから頭痛を引き起こすこともあります。遠くを見る時間を作ったり、目の周りをマッサージすると痛みがおさまることがあります。

普段から、目にいいと言われるブルーベリーや人参、ほうれん草を摂取したり、なによりゆっくり睡眠をとるためにも、寝る数時間前からパソコンやスマートフォンを見ず、脳と目を休ませましょう。

頭痛を緩和する方法8:カフェインを少量摂取する

カフェインと聞いて最初に想像するのはコーヒーではないでしょうか。しかし、コーヒー以外にもカフェインが含まれているものもあります。例えば、お茶、紅茶、ココア、眠気覚ましのエナジードリンクなどです。

実際にカフェインは、血管収縮作用があるので、頭痛を緩和させる場合もあるようです。ただし、妊娠中の場合、注意が必要です。摂取しすぎると赤ちゃんが低体重になったり、健康上のリスクが高まり、悪い影響が出ることがあります。カフェインの過剰摂取に注意しましょう。

頭痛を緩和する方法9:薬を服用する

頭痛や歯痛も落ち着く市販の鎮痛剤なら簡単に手に入り、妊娠前から常備している人もいるのではないでしょうか。しかし、家にあるものをそのまま服用しないでください。通っている産婦人科で、妊娠中でも服用できる薬を処方してもらいましょう。

もし、妊娠に気づく前に市販薬を飲んでしまった場合は、医師や薬剤師に相談しましょう。4週未満であれば赤ちゃんへの影響はないようですが、それ以上の服用は避けましょう。

病院の受診が必要なケース5つ

妊娠初期に頭痛を引き起こす原因は、妊娠ならではのものもありますが、妊娠にかかわらず起こる疾患もあります。中には、脳卒中など命に危険があったり、将来、障害が残るようなこともあります。

セルフケアにこだわらず、早急に病院に行かなければならない場合もあります。どういったときに病院に行くべきなのでしょう。ここから受診が必要なケースを紹介します。

病院の受診が必要なケース1:我慢できない痛み

妊娠初期に突然、我慢できない痛み、経験したことのないひどい痛みが起きたら、くも膜下出血の可能性があります。

躊躇せず、休日・夜間を問わず、早急にかかりつけ医に連絡をしましょう。そういった場合、生命の危険や後遺症のリスクがでてきます。

病院の受診が必要なケース2:高熱を伴う痛み

妊娠初期で高熱、寒気を伴う頭痛の場合、風邪やインフルエンザのようなウイルス性の感染症が考えられ、高熱が続くと流産のリスクもでてきます。

また、おなかの赤ちゃんに影響のでる感染症もあります。例えば、はしかや風疹、水疱瘡などで、これらは早産、流産、眼の異常や手足の形成不全などです。

微熱なら1~2日様子をみても構いませんが、長く続くようなら病院を受診するようにし、38℃を超える場合は早めに受診しましょう。

病院の受診が必要なケース3:意識がはっきりしない痛み

妊娠初期に頭痛とともに意識がはっきりしない痛みの場合、脳の血管に血栓が詰まって起こる脳梗塞、脳の血管から出血する脳出血が考えられます。これらは早期診断、治療が必要になるので、迷ったら受診しましょう。

また、受診する前に症状が改善した場合も、一度受診しましょう。一時的な改善でまた近いうちに症状があらわれることがあります。

病院の受診が必要なケース4:手足のしびれを伴う痛み

妊娠初期の頭痛で片方の手足にうまく力が入らず、しびれを伴う頭痛の場合、様子をみていては取り返しのつかない事態が迫っていることもあります。

また、生命の危険、後遺症のリスクがあります。躊躇せずにかかりつけ医に連絡しましょう。

病院の受診が必要なケース5:言葉が出ない

頭痛以外にも、言葉が出ない、ろれつが回らないなど言葉の症状がある場合、早期診断、治療が必要な脳卒中が考えられます。躊躇せず、かかりつけ医に連絡し、早急に病院で受診しましょう。

妊娠初期の頭痛は原因を理解して緩和しましょう

妊娠初期の頭痛は、妊娠初期ならではの原因のものと、他の疾患が原因で妊娠とは関係のないものがあります。まずは妊娠により引き起こされる頭痛の原因を理解しましょう。

そして、姿勢に気をつける、体を温めるもしくは冷やす、水分や食事を少しずつでも摂取するなど、どれも1人でも簡単に取り組めるものばかりです。辛い頭痛を和らげる方法を見つけて、それぞれの解消法を探っていきましょう。